ここは福島県双葉郡楢葉町の「道の駅ならは」。Jヴィレッジのほど近くにあり、なんと温泉まで併設されていた地元の人たち自慢の施設でした。現在の「道の駅ならは」についてのお話は別の機会に譲るとして、今回注目していただきたいのは、駐車場の南南西方向に見えるこれ。
駐車場の先の土手の向こうに、何か建設中の建物が見えるでしょ。
アップにするとこんな感じ。
四角い骨組みのまわりに大きなクレーンが何本も立っていて、どことなく事故を起こした東京電力の原子力発電所に似ている感じもしますが、この建物は原発のモックアップ施設。政府のお金で建造されている原発の実寸大模型です。
※モックアップ施設とは・・・
東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置に向け、実寸大の格納容器を模擬した試験施設での廃炉に向けた実証実験や、災害対応ロボット研究などを行う施設で、経済産業省が出資。JAEAが施設の建設や運営を行う。
(以下ワンブロックは漢字ばかりで読みにくいので飛ばしてもらって結構です)JAEAは国立研究開発法人日本原子力研究開発機構のことで、このモックアップ施設は廃炉に向けてのロボット開発や実証試験、操縦訓練などを行う開発の中心となるそうです。昨年9月に起工式を行い、完成予定は2015年度内。まさに工事の真っ最中。完成後は、国の国の原子力関連機関や電力会社、原発メーカーなどでつくられているIRID(技術研究組合国際廃炉研究開発機構)も参加して、廃炉に向けての実務的な研究が行われていくことになるようです。
事故原発の内部をロボットを使って調査する試みは、これまでにも実施されてきましたが、いまのところリモコンの模型程度の大きさの駆動体にカメラやセンサを付けて、事故原発の中を覗いているような段階です。融け落ちた燃料デブリの状態すらつかめていません。ガレキを取り除いたり、原子炉を解体するロボットが実現するまでには、かなりの時間が必要です。
原子炉建屋下部の配管まで再現するモックアップ施設は、具体的なロボット開発に役立ってくれるものと期待されます。稼働してから後、長い年月の中で改造が繰り返されてきた福島第一原発の内部を再現するための書類(設計図はともかく細かな施工図)が残っているのか。図面が残っていたとしても、事故のダメージで設備が破損していたら、モックアップ装置での開発が役に立たないのではないかなど、いろいろな指摘はありますが、兎にも角にもここで十分に研究と検討と機器の開発を行ってもらうことになるのは間違いありません。トライ・アンド・エラーの中からで結構ですので、安全な廃炉を実現する道のりを見出していただきたいものです。
そういう意味でこの場所は、21世紀の日本を左右する重要な施設なのです。
廃炉措置を詳しくお知りになりたければこちらが参考になるかもしれません。廃炉への道筋を紹介する「IRIDシンポジウム」での資料です。東京電力常務執行役で福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデント 兼 廃炉・汚染水対策最高責任者の増田尚宏さんの発表の資料と見受けられます。モックアップ装置は23ページに紹介されています。