海水浴シーズン真っ盛り、海の危険生物について Vol.12 ~イソギンチャク編~

ウンバチイソギンチャク

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海水浴シーズン真っ盛り。ということで、海辺で楽しむ際に気を付けるべき海の危険生物をこれまで11回に別けてご紹介してきました。12回目の今日は「イソギンチャク」です。

イソギンチャク

海水の流れに身をまかせ、ゆらゆらと海の中で舞うイソギンチャク。優美にも見えるその姿とは裏腹にこの海の生物も人間にとって有害な毒を持っています。

イソギンチャクは一見、海藻と同じ植物のようにも見えますが、刺胞動物と呼ばれる動物のグループに分類されます。刺胞動物は刺胞と呼ばれる毒針を含んだ刺細胞を持った生物で、他にはクラゲなどがあります。

一か所にずっと留まっているようにも思えますが、実は比較的活発に動き回り、なかには泳いで移動するものもいます。

イソギンチャクとは総称であり、その数は世界におよそ800種、日本には約70種いると言われています。大なり小なり毒を持っているのですが、猛毒として恐れられているのが「ウンバチイソギンチャク」です。

ウンバチイソギンチャクは日本では沖縄などの暖かい海に生息しており、岩や海藻などと見分けがつきにくいことからシュノーケリングなどの際に触れて被害にあうケースが多く報告されています。

刺されると激痛が走り、腫れあがります。また、患部が壊死したり、けいれんや呼吸困難などを伴うこともあり、大変危険な生き物です。

万が一刺されてしまった場合は、海からあがり、「海水」で刺された箇所に残っている刺胞を洗い流して病院へ行きます。この時、真水やアルコール、酢などを用いて流そうとすると、刺胞を刺激しさらに刺されてしまうので絶対に使ってはいけません。痛みがひどい場合は、冷たい水や氷で冷やすと和らぎます。

ちなみにイソギンチャクやクラゲなどに刺された時の応急処置として、まず刺胞を洗い流しますが、使用に適したものは刺した生き物によって異なってきます。

例えばハブクラゲに刺された際は「酢」で洗い流すと効果的ですが、カツオノエボシの場合に「酢」を使用すると、残っている刺胞を刺激してさらに刺されてしまう危険性があります。クラゲやイソギンチャクに刺された際に何を用いて洗い流せば良いかわからない時は、海水を使用するのが無難です。

ウンバチイソギンチャク以外にも、イソギンチャクの仲間には「スナイソギンチャク」や「ウデナガウンバチ」など強い毒を持ったものが本州の海などにも生息しているので要注意です。
(※下記WEBサイトにウデナガウンバチなどの写真があります)

スナイソギンチャク

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毒の強い種を全て覚えるのは大変なことかもしれませんので、海でイソギンチャクを見つけた場合には、触らないことに越したことはありません。

また予防対策としては、グローブやラッシュガード、ウェットスーツなどを着用して、皮膚を露出しないようにすることが有効です。

海の生き物は触らずに少し離れて見るだけに

海の危険生物を12回に別けてお伝えしてきましたが、早いもので8月ももうすぐ終り。他にも海の危険生物はいますが、それはまた来シーズンにご紹介することができればと思います。

何種類もの物騒な海の生き物をご紹介しましたが、その多くはこちらから触ったりしなければ害を及ぼさないものです。釣りやシュノーケリングなど、海には楽しいことがいっぱい。必要以上に恐れて避けるのはあまりにも惜しい世界です。「美しい生き物がいたとしても、触らずに少し離れて観察するだけ」というシンプルなことを実践するだけで、リスクをかなり減らすことができます。日本は海に囲まれた海洋国家。様々な危険性を知った上で、海のレジャーを楽しみたいですね☆

参考WEBサイト

関連WEBサイト

紹介:sKenji