7月29日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
※ 情報を追加して更新します
重要な電源装置に事故(警報発生)の続報。原因をチガヤ対策のシートを止めるピンと断定
原因は、チガヤ対策のために布設した防草シートにピン(長さ約250mm、幅約40mm、直径約4mmのコの字型のピン)を打ち込んで固定する際に、ピンがシートの下のエフレックス管を貫通し、収納されている電源ケーブルを損傷させたことにより地絡が発生し、焼損に至ったものと判断した。
また、当該箇所には当該ケーブルを含め合計5本の電源ケーブル(高圧1本、低圧4本)が布設されており、今回焼損した高圧電源ケーブル以外のエフレックス管にも貫通箇所が数箇所あることを確認した。貫通箇所が確認されたエフレックス管に収納されている低圧電源ケーブルの使用を停止し。今後、詳細な調査および復旧を行う。
*記載内容において、フレキシブルチューブをエフレックス管に訂正。
たった1.3気圧で凹んでしまった廃スラッジ貯蔵タンク (A)の問題は追加調査を行わず、作業は現状のまま進めるとの判断
※6月18日の移送作業時に確認した3号機廃棄物地下貯蔵建屋(以下、「FSTR建屋」という)の廃スラッジ貯蔵タンク(A)の変形について、原因調査の結果、3号機FSTR建屋の滞留水水位が、タンク内水位よりも最大で約3,000mm高い位置にある時期が確認されたことから、滞留水の水圧により、タンクに変形が生じたものと推定。
(以降の記載に注目)
3号機FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋への滞留水移送については、水質による影響がないことから、7月29日午前10時5分に移送を開始した。移送については計画的(断続的)に実施する。
危ないからわざわざ廃スラッジ貯蔵タンクに収めてきたそのタンクが、たったの1.3気圧(水深3メートル)でベコベコに変形したことは無視して、従来通りの措置を継続しますという報告です。どう思います?
1号機 ~タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を実施(移送先は1号機廃棄物処理建屋)
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
加えて、
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
・1号機タービン建屋地下→1号機廃棄物処理建屋へ高濃度滞留水を移送実施(2015年7月29日午前5時54分~7月29日午後1時48分)
※ 8時間弱の移送実施の後、タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
2号機 ~タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を再開(移送先は高温焼却炉建屋)
1号機の冒頭3項目に加え、
・使用済燃料プール循環冷却系停止中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機使用済燃料プール(以下、SFP)代替冷却系について、当該系統の空気作動弁用コンプレッサの交換に伴う準備作業(コンプレッサユニットおよび防護柵のアンカー打設作業)を行うため、7月28日午前6時2分に停止。冷却停止時のSFP水温度は29.4℃。停止は7月31日までの予定で、2号機SFP代替冷却系停止時のSFP水の温度上昇率は0.136℃/h、停止中のSFP水温度上昇は最大で約11.4℃と評価しており、運転上の制限値65℃に対して余裕があることから、SFP水温度の管理上は問題ない。
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年7月28日午後7時23分~)
※ タービン建屋地下滞留水の移送は実施中
3号機 ~タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を再開(移送先は高温焼却炉建屋)
1号機の冒頭3項目に加え、
・使用済燃料プール循環冷却系停止中
(6月30日には、6月29日午後1時46分SFP代替冷却系を起動と報告されている。また本日7月21日には、ポンプ交換のために一時停止した後再起動とある)
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年7月28日午後7時38分~)
※ タービン建屋地下滞留水の移送は実施中
4~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備停止中
地下水バイパス
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
※地下水バイパス揚水井No.10については、6月29日に採水した水の分析結果において、トリチウム濃度が運用目標値の1,500 Bq/L であることを確認したことから、当該揚水井の汲み上げを6月30日に停止。今後、地下水バイパス一時貯留タンク内の評価を行う。(既出)
7月23日に採水した水の分析結果において、トリチウム濃度が1,500 Bq/Lであることを確認しているが、第三者機関による分析においても1,500 Bq/L であり、同等であることを確認。
地下水バイパス揚水井No.10のトリチウムが1,700ベクレルに上昇。サンプル分析を行った井戸は12本中4本のみ
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
7月28日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、堰床部に溜まっている雨水の影響により、一部実施出来ない箇所を除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。また堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。
なお、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)において異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。