今国会の最大の焦点、というよりも戦後70年間でも非常に重要な意味を持つ安全保障関連法案(戦争法案)は15日、衆議院平和安全法制特別委員会(浜田靖一委員長)で与党により強行採決され、16日にも衆議院本会議で可決される見込みになっている。
そんな状況だからこそ注目したい記事が日刊スポーツの「政界地獄耳」に掲載されている。国の基本の憲法の解釈まで、一内閣の閣議によって変更されてしまうような状況なのだから、内閣をリコールする権利を国民が持ってもいいのではないかという論だ。たしかに、都道府県知事や市町村長のリコールができるのだから、内閣や国会議員のリコールが不可能ということはないだろう。元記事がサイトから消えているので魚拓からの引用ながら、後々のために保存しておきたい。
政界地獄耳 内閣リコール法律を加えるべき
http://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1506262.html
2015年7月13日8時40分 日刊スポーツ
★今週、国会は安保法制可決へ向け、大詰めを迎える。議論が深まったかどうか、国民の理解を得たかどうかは与党にとって、あまり関係ないようで、与党の数で押し切る。体裁を整えるためには少数野党の次世代の党と維新の党の採決参加で、議会の“与野党参加の採決”を演出できれば成功。土壇場で維新が日よればそれはそれ。その程度で戦後70年間の自民党が積み上げてきた安全保障議論を台無しにする、自民党崩壊法案でもある同法の可決は結果的に国民に不安を与え、憲法改正もこういった手法で成立させようとする与党の強引さだけが記憶に残ることだろう。
★そもそも、この法律を21世紀の時代が求めているのだろうか。1990年、湾岸戦争で日本政府は135億ドル(約2兆円弱)を拠出したものの、参加の足跡、オンザブーツの評価が世界からないと悔しがった。その時の思いを25年後に果たそうというのだからおめでたい。加えて内閣が判断するという法的根拠に基づかない仕組みで戦闘行為に及ぼうというのだから、歯止めどころか、時の政権が戦争をしやすくさせる法律になろうとしている。
★それならば、国民もこの内閣が適正であるかどうか、絶えずリコールが可能な、国民の審判を選挙以外に仰ぐ方法を加えるべきだろう。その緊張にさらされながら戦争の決断をすることが、国民の持つ抑止力ではないのか。荒唐無稽に思うかもしれないが、既にこの安保法制が荒唐無稽なものだけに、内閣を法律で縛れないならばこのくらいの歯止めはあっていいはずだ。ナチスは当時の各国の手本といわれたワイマール憲法すら無力化し、内閣と総統に権力が集中するように法律を変えていった。すでに国民は「急ぐべきではない」と「理解できない」というシグナルを政府に世論調査という形で突きつけている。それでも強行するならば、内閣を縛る法律を加えるべきだ。(K)※敬称略
総理大臣は国会議員、それも通例として衆議院議員から選ばれるわけだから、民意を間接的に反映しているという考え方もあろう。しかし、選挙によって民意が反映される前に、たとえば戦争法案をつくったり、あるいは戦争法案が成立した後には実際に戦争を始めたりすることも起こりうる。
ことは国民の生命財産に関わる問題だから、そのような重大な決定を行う職に対して、直接リコールできる法律はぜひとも必要だと思う。
問題は、選挙区の区割りでさえもめるくらいの国会議員が、自らを縛るような法律を作ることが出来るかどうかだ。遠からず国政選挙が行われることになるかもしれない。その際には、内閣や議員のリコールでもいいし、議員報酬を減らしたり、議員定数を減らすなど、議員自身にとって不利になりかねない仕組みの導入に取り組むかどうか(つまり、誰のために議員になろうとしているのか。国民のためなのか、自分のためなのか)を判断材料にしてはどうだろう。