今や世界を揺るがす中国の大気汚染。
怖いもの見たさで上海への観光旅行を決めた。上海は中国でも南に位置し、海に近くて風の流れがある。さらに経済の中心地であって工場が建ち並ぶわけでもない。だから大気汚染はそれほどでもないだろうと思って選んだ場所だった。
しかし、私のその読みはみごとに外れることになる。
出発の2週間前、一緒に行く友人からメールが入る。
「上海の空気はヤバいって上海帰りの友達が言うので、私はマスクを持って行きます」
え?そんなに悪いの?上海の空気。
いよいよ上海へ。お昼ごろに上海虹橋空港に到着。空を見上げれば薄曇りというような天気だ。
渋滞に巻き込まれ、これだけ車があればその排気ガスは凄まじいだろうと思いながら窓の外を見るが、上海人たちは特にマスクをつけているような様子はない。
市内に到着し、車を降りてみるが空気に色がついているとかにおいがするとか、そんなこともまったくなかった。
そして最初に連れて行かれたのが「上海ワールドフィナンシャルセンター」。地上474m、100階建ての建物で、最上階から上海の街が見下ろせる。が、窓から見るその景色はなんとなくもやがかかったようでパッとしない。
これがやはり大気汚染なのか。ガイドの范さんに聞けば、「いつもまあこんなもんですよ」。判断がつかない、上海の大気汚染。
夕食は上海料理を食べ、ホテルに戻った。
すると一緒に行った友人が、「やっぱりなんとなく喉が気持ち悪い」と言って用意してきたうがい薬と目薬を洗面所に置いてくれた。自由に使っていいというので、とりあえず使っておく。
翌日の朝。目が覚めるといきなり喉が痛い。友人も少し痛いと言っている。ホテルで空気が乾燥していたせいなのだろうか。はたまたやはり大気汚染なのだろうか。
しかし、朝からうがいをして食事を済ませると、喉も気にならなくなり、そのまま出かけた。
2日目は現地ガイドに案内され、上海市内観光。
しかし足は「オープントップバス」。即ち屋根なし2階建てバス、なんと無謀な! これに乗って上海市内の観光名所をぐるぐる回る。
この日は5月1日、メーデーは中国では祝日だ。金曜日の5月1日から3連休となるため、バスには外国人観光客よりも国内旅行に来た中国人の方が多く乗っているようだった。
しかし・・・全員、マスクなどしていない。
私と友人も最初のうち「念のため」とマスクをしたが、明らかに2人だけ浮いている!?――それで、マスクをしない代わりに窓が閉まっているバスの1階に乗ることにした。
この日はほぼ晴天。しかし微妙だ。突き抜けるような空の青さではない。雲があるわけではないのに、「真っ青」という空ではないのだ。
いざ観光名所を回り始めると、なんとなく喉がごそごそしてくる。昨日は感じなかったが、なんとなく喉が汚れたような感じがするのだ。それで観光地のトイレに入っては持っていたペットボトルの水で何度もうがいをした。
夕方くらいになると少し鼻水が出るようになった。風邪をひいたのかと思うが体調の悪さは感じない。友人も鼻水が出始め、彼女はそのうち咳払いをするようになった。
~~その2へ続く~~