【続・図解】役員全滅!組織ぐるみの東洋ゴム。親会社が報告を受けてから

子会社の東洋ゴム化工品で、後任担当者が前任のデータ偽装に感づき、上司に報告をしたのが2013年夏のこと。2014年5月になって、ようやく親会社の東洋ゴムの取締役事業本部長に報告があがりました。

中間報告書はさらに続く

2014年5月26日、F取締役技術生産本部長及びCが、東洋ゴム新庄取締役ダイバーテック事業本部長に対し、技術的根拠のないデータ処理の疑いについて詳細に報告する。

翌5月27日、東洋ゴム化工品藤巻社長から、東洋ゴムの信木代表取締役社長に、定例の近況報告で、免震積層ゴムの性能にばらつきがあり調査中である旨を報告。

2013年夏に東洋ゴム化工品の後任担当者Cがデータ偽装に気づいて上司に報告をあげてから、東洋ゴムの社長に報告が届くまで、約10ヶ月。

しかも5月27日は定例の近況報告の場。この報告に備えて、前日に新庄取締役は、データ偽装の詳細報告を受けたのではないかと感じる。知らないわけにはいきませんからね、立場上。

信木社長へは「性能にばらつきがある」という報告内容。

おいおい、『データ偽装して大臣認定を不正取得し、不適合品の出荷が続いている』と報告すべきではないのか?

定例の近況報告の場まで、トップへ報告がなされなかった。異例の事態なのに!

この時の模様を記者会見では次のように述べました。
「5月~6月頃に東洋ゴム加工品から東洋ゴムへ『不適合の疑いがある』と報告があり、東洋ゴムも調査に乗り出した」

2014年7月8日、東洋ゴム新庄取締役ダイバーテック事業本部長が東洋ゴム伊藤常務取締役技術統括センター長と青木執行役員CSR統括センター長に対して、大臣認定の基準から外れている疑いのある製品が存在すること等を報告する。

また、その前後頃、新庄取締役及び 信木社長からの依頼を受け、伊藤常務が社内調査に関与することになる。

本社が社内調査に関与したのは、7月8日前後です。記者会見では5月か6月としていました。

信木社長が報告を受けたのが5月26日。社内の情報共有の体制は、いったいどうなっているのか不思議でなりません。

2014年7月16日、タイヤ事業本部長の山本常務取締役が代表取締役専務に昇格します。信木社長とのダブル代表となります。不可思議な役員人事の幕開けというのも、この後頻繁に役員人事が行われることになるからです。

この時、ダイバーテック事業本部で起きていた偽装&不正の情報を山本専務は知らされていたのでしょうか?
真相は今のところ謎です。

翌7月17日、信木社長氏及び 伊藤常務が参加する会議において、新庄取締役及び化工品の F 取締役らから、以下の内容が報告される。
・ 大臣認定において、測定値でなく推測値で申請された可能性があること
・ 出荷時性能検査の際に、技術的根拠のない補正が行われていたこと
・ 大臣認定の申請の際に、技術的根拠のない補正が行われていたこと
・ 東日本大震災を経験しても具体的な問題は生じていないこと

おそらくダイバーテック事業本部の会議でしょう。タイヤ事業本部長の山本専務は、この会議の出席メンバーに入っていないようです。前日代表権を持つ専務になりながら、このような重大な会議に招集されていなかったのでしょうか?

本当に隠されていたのか、その後のために山本専務をあえて安全圏において、知らない振りをするように密約があったのかが気になります。

さて、またもや嘘の会見内容がこの頃の説明として行われていました。
「2014年7月に部下から経営陣に『国の性能基準を満たしている』とする報告があり、納入を継続した。」

会議で報告された内容とは真逆です。

垣間見える隠ぺい体質

2014年8月13日、山本代表取締役専務と久世常務取締役らが参加する会議において、以下の内容が報告される。
・ 建物への影響は限定的であること
・ 東日本大震災を経験しても具体的な問題は生じていないこと

なんとなく都合のいい話ばかりが、会議で報告される体質のようです。リスクマネジメントが利かない会社の典型です。

これは、部下の責任ではありません。トップの責任です。そりゃあ、トップはいい話の報告を聞いた方が心地よいでしょう。実はいい話なんかどうでもいいのです。大切なのは悪い話の報告をスピーディーに吸い上げ対策することです。そういう文化、風土を持たない組織は、大きな問題が発覚したときに、ほとんど手遅れになります。トップダウンでそうした方針を徹底しなければ、部下は報告しにくいものです。

東洋ゴムは、2007年に防火断熱パネルの大臣認定の不正取得を謝罪しましたが、その3年前の2004年から、既に免震ゴムの大臣認定の不正取得が行われていたのです。

コンプライアンス強化、CSR強化を約束した2007年の謝罪会見は、口先だけの謝罪に終わりました。この時に出さなければならなかった膿みが、大きく化膿していったのです。

どちらも東洋ゴムダイバーテック事業本部の建築資材です。

都合の良い報告ばかりで、一向に製品に対する対策が話し合われていません。これでもメーカーと言えるのでしょうか?自分たちの都合や立場が優先され、顧客のことは、ほったらかしです。

後任担当者Cが前任担当者Aのデータ偽装に気づいてから、既に1年経過です。

この後不可思議な役員人事が頻発します。
そして呆れた会議の内容が明らかにされます。

まだ続く・・・

※前編は以下です。