4月1日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
3月21日、原発構内の道路で発生した火災の原因車両を特定
※3月21日午前11時48分頃、福島第一原子力発電所5・6号機開閉所西側の道路脇で発生した火災発生原因の調査結果は以下のとおり。
火災発生時、車両の一部(ブレーキパッドらしきもの)が道路および延焼範囲に落ちていたことから、ブレーキ部分等が破損した車両がないか調査していたところ、パーキングブレーキの一部が破損している50tホイールクレーン(当社貸出用重機)が発見された。火災現場に落ちていた破片は、当該クレーンのパーキングブレーキ破損部と形状がほぼ一致したことから、当該クレーンのものであると推定。その後の当該クレーンの点検および運転手への聞き取りを実施。
・パーキングブレーキスイッチのON/OFFの動作は正常であった。
・パーキングブレーキが動作している場合は、運転席正面のパネルにパーキング表示が点灯するはずが、表示されなかった。
・パーキングブレーキが動作している状態で走行モードにした場合に警報が鳴るはずが、鳴らなかった。
・当該クレーンの運転手は、走行・停止・パーキングブレーキに不調は感じられなかった。
点検および聞き取りの結果から、当該クレーンの運転手が、パーキングブレーキが動作していることに気がつかずに運転したため、パーキングブレーキに負荷が掛かり加熱・破損し、さらには破損したブレーキの破片が道路脇の雑草に落ちたことにより火災が発生したものと推定。
○ブレーキ部品が破損した大型クレーン車を発見。火災現場に落ちていたブレーキ部品の破片と合致する損傷がパーキングブレーキに見られたため、「火災現場に落ちていた破片は(中略)当該クレーンのものであると推定」
○クレーン車の運転手へのヒアリングでは、パーキングブレーキをONにして運転していないし、運転にも停車にも不調はなかったと言う。
○東京電力は、点検とヒアリングから「当該クレーンの運転手が、パーキングブレーキが動作していることに気がつかずに運転したため、パーキングブレーキに負荷が掛かり加熱・破損」したと「推定」
※ クレーン運転手の話と正反対だが、運転手がパーキングブレーキをONにして運転したと東京電力は主張する。根拠は不明。
○破損したブレーキ片が道路脇の雑草に落ちて火災発生と「推定」
※ 現場に落ちていたブレーキ片らしきものが火災原因とは特定されていないし、発表されている写真では、実際の延焼場所の中にあるブレーキ片の写真はないが、東京電力は火災原因がこのクレーン車の破損したブレーキ片であると主張している。
真相は依然として不明のままである。これで幕引きとされてしまうのだろうか。
1号機~2号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年3月26日午前10時14分~)
※滞留水移送は実施中
3号機 ~タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を再開。移送先はプロセス主建屋
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年4月1日午前10時3分~)
※滞留水移送は実施中
4号機~6号機
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス
新規事項なし
地下水バイパス揚水井分析結果(3月30日採取)揚水井No.10のトリチウムが過去最高値を更新
3月23日に採取されたサンプルで過去最高値を記録した揚水井No.10のトリチウム濃度が最高値を更新した。
<地下水バイパス揚水井No.10>過去最高値
トリチウム(H-3):970 Bq/L(平成27年3月30日採取)
これまでの最高値は900 Bq/L(平成27年3月23日採取)
それ以前の最高値は890 Bq/L(平成27年2月26日採取)
※ 一時貯留タンクにおける運用目標は1500Bq/L。一時貯留タンクでは濃度の低い井戸のもの、高いものなど複数の井戸の水が合わせて貯留され、分析で運用目標を下回ったことを確認した後に海に流される。
約1年前、地下水バイパスの汲み上げを開始した頃に撮影された地下水バイパス揚水井の写真(撮影日は2014年4月9日:東京電力)。左の筒状の揚水井戸に掛けられた黄色いタグには「揚水ポンプ(J)」と書かれている。「J」はアルファベットで10番目なので、この井戸が揚水井No.10なのかもしれない。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
3月31日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、堰床部に溜まっている雨水の影響により測定を一部実施出来ない箇所を除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。