以前ぽたるページで紹介した仙台市青葉区上愛子地区の井戸。東日本大震災の際、断水した水道の代わりに活躍した井戸です。
その仙台市の上愛子学区連合町内会が「井戸マップ」を作っているそうです。以下、3月2日付河北新報の記事です。
東日本大震災で水道が止まった際、井戸はトイレや洗濯、清掃用といった生活用水の供給源となった。
仙台市北西部の上愛子学区連合町内会(青葉区、約840世帯)は、手作りの災害応急用井戸マップを発表する。掲載に同意を得られた井戸約40カ所の場所を所有者名と共に掲載している。
(中略)
約1週間に及んだ断水を、昔ながらの井戸で乗り切った。もどかしさも感じた。「登録制度はいい取り組みだが、肝心の井戸の場所が知られていない。もっと広く活用されるべきだ」
災害時になくて困るもの。それは「水」
先日、災害発生時になくて困ったものについて、アンケートをした際の調査結果を見ました。それによると1位が「懐中電灯」で、2位が「水」でした。同じような調査をよく見かけますが、水は必ずと言っていいほど上位にあがっています。水なしに生きていけないことは言うまでもなく、当然の結果と言えるかもしれません。
井戸の水について、単純に分けると「飲める水」と「飲めない水」があると思います。もちろん飲めるに越したことはありませんが、仮に飲めなくても災害時には活躍するはずです。
東日本大震災の際、仙台に住んでいた知り合いがいます。地震発生から少しの間、近所の学校に避難していたそうですが、彼の話によるとその際にトイレの水が流せないで大変なことになっていたそうです。食事時には聞きたくないような話でしたが、それでも東北の3月という寒い時期だったからまだ良かったのかもしれません。これが夏場だったら衛生上、さらにひどいことになっていた可能性があります。
国土交通省水資源部の公表資料によると、日本人が1日に使う生活用水の量は、平均で250L以上にもなるそうです。この数字は一般家庭が使う「家庭用水」とオフィスやホテル、飲食店などで使われる「都市活動用水」の合計であるものの、生活していく上で大量の水を必要としていることに違いはありません。
災害時には、これほど多くの水を使用しないかもしれませんが、それでも飲料水の他にもトイレ、炊事、洗濯など多くの水が必要になります。
ちなみに家庭用水の内訳を見ると、トイレで使用される水は最も大きな割合を占めていました。1回のトイレで使用される水の量を調べてみると、1990年代ころまでのトイレでは1回あたり13L。最新式のものだとおおよそ大で6L、小で5L以下とあります。
トイレの水について、半日や1日程度ならばともかく、夏場に3、4日も断水が続いたら大変なことになります。東日本大震災時、仙台市のほぼ全域で水が復旧したのは18日後だったそうです。
上愛子学区連合町内会が取り組んでいる「井戸マップの作成」の動き。これが全国的に広がれば、災害発生時に多くの人がその恩恵をうけることできます。
災害時に使用できる井戸。もっと一般的になり、災害に強い社会なってほしい。そのように思います。
参考WEBサイト
Text:sKenji