年末年始など、連休になると毎年多くの山岳遭難事故を耳にします。特にここ数年は登山以外にも、バックカントリースキーやスノーボード、トレイルランニングなどの人口も増えており、遭難事故件数及び死者・行方不明者数が増加しているといいます。遭難時に生死を分ける要因のひとつが食料です。遭難に備えて非常食について考えてみます。
遭難時の非常食として大切なこと
遭難時の非常食に適している食べ物の要素として、次の3つがあると考えています。まず一番重要なことは高カロリーであること。これは言うまでもなく、生き延びるためには絶対必要な要素です。寒い時期や高い山を泊りがけで登山をした際、前夜に取った夕食のカロリーが低いと明け方に寒くて目を覚ますことがあります。気温が低い状況ではじっとしていても通常よりカロリーを消費します。
2つ目はコンパクトで持ち運びがよいこと。いくらグラムあたりのカロリーが高いとしても、かさばるものは非常食に適しているとは言えません。例えばポテトチップスなどのスナック菓子。重さに対してのカロリーは高いものの、非常食としては大きすぎます。
3つ目は悪天候下でも手軽に食べることができること。山を登る際には必ずと言っていいほど袋麺を持っていくのですが、これはお湯を沸かす手間がかかるために非常食としては適していません。天候など状況が悪い時でも簡単に食べることができることは重要な要素であると思います。
非常食に適していると思うもの
グラムあたりのカロリーが高い食品を調べてみると、マヨネーズは100gあたり700kcal以上もあり、非常食として有用な食品のひとつと言えます。実際にマヨネーズで助かった事例もあります。
昨年、関西であった遭難事故では、焼肉のたれと水で3週間生き延びたと報じられていました。ラードやオリーブオイルなどの動物性、植物性油脂は100gあたり、だいたい800~1000kcalの熱量があるために、いざという時にカロリーを取るのには適しています。けれども、保存性などの観点から高カロリーな行動食(※)を持って行っています。
登山者に人気がある行動食としては、おにぎり、魚肉ソーセージやチーカマ、ドライフルーツ、柿ピーなどのお菓子、ゼリー食品などがあるものの、非常食として適しているのは比較的カロリーが高く、コンパクトで手軽に食べることができるカロリーメイトが個人的にはいいと思っています。カロリーメイトは100gあたり500kcalの熱量があります。
他にはアーモンド、カシューナッツ、ピスタチオなどのナッツ類も非常食に適しています。ナッツは油脂の次ぐカロリーが高い食べもののひとつです。例えばマカダミアナッツは100gあたり700kcal以上の熱量があります。
ナッツならば食べずに下山してもビールのつまみにもなるのでいいかもしれないですね(笑)
(※)行動食:登山や旅行などで、行動中の栄養補給のために食べる携帯食料。チョコレートやおにぎりなど。レーション。(出典元:デジタル大辞泉)
自作のパワージェルについて
食べたことはないのものの、個人的に行動食として気になっているのが「パワージェル(バー)」や「エナジージェル(バー)」などと呼ばれている、高カロリーな食品です。トレイルランニングなどをしている方がよく利用しています。
パワージェルなどは登山用品店でも販売されていますが、友人の中にはこのジェルを自分で作っている人もいます。自作のパワージェルは「粉飴」という水に溶けやすい粉末にクエン酸など、自分の好みのものを混ぜて作るそうです。オリジナルのパワージェルを作ってみるのも面白そうです。ちなみに粉飴の熱量は100gあたりおよそ400kcalあるそうです。
お守りとして非常食を持っていく
遭難は冬山や高い山だけで起きるとは限りません。低山でも遭難事件は多発しています。また、道に迷わなくても登山中やトレイルランニング中に足などを怪我して動けなくなることもあるかもしれません。
もしもの時に備えて、お守り代わりに非常食を常に携行されるといいかもしれません。私も今年、これまでのカロリーメイトやナッツ類の他にも、粉末状の粉飴や自作したパワージェルを非常食としてザックにしのばせて持っていきたいと思います。
参考WEBサイト
Text:sKenji