1月16日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
鉛の板で頭部を負傷した作業員の続報
※平成27年1月13日午前9時45分頃、2号機原子炉建屋1階除染作業中、吊り上げ作業中の鉛板に、協力企業作業員の頭部が接触し首の痛みを訴えたことから、入退域管理棟救急医療室にて医師の診察を受診。その結果、緊急搬送の必要があると判断し、同日午前11時13分、救急車を要請。
なお、当該作業員については意識があり、自力歩行が可能であるが、頭部の接触であることから、念のため検査を実施し(既出)
医師による診察(CTおよびMRI検査を実施)の結果、「頭部打撲」と診断。
また、負傷したときの状況について、その後の聞き取りにより、「当該作業にて使用していた昇降台車を移動させる際、上部既設物に昇降台車の手摺(折り畳み式、鉛板4枚取付)が干渉するため、手摺を折り畳んで移動しようした。その際、負傷者を含む作業員2名が手摺を折り畳むレバーを動かしたところ、手摺りが負傷した作業員の頭部に倒れ、左手薬指をヘルメットの間に挟むとともに頭部にぶつかり負傷した」ことを確認。
読むだけで痛くなる。グラインダーで負傷した作業員の続報
※平成27年1月15日午後0時20分頃、構内G5タンクエリアにおいて、協力企業作業員が汚染水タンク雨水抑制対策工事中にグラインダーで左手を負傷した。その後、入退域管理棟救急医療室にて医師の診察を受けたところ、緊急搬送の必要があると判断されたため、午後1時36分に救急車を要請。午後2時6分に急患移送車にて同発電所を出発し、富岡消防署(救急車待機場所)で救急車に乗り換えて、いわき市立総合磐城共立病院へ向かった。なお、当該作業員の身体への放射性物質の付着はなかった。(既出)
医師による診察の結果、「左示指挫創」、「左中指末節骨開放骨折」と診断。今後、約2ヶ月程度の通院加療を要する見込み。
左手の人差し指と中指を負傷しているということなので、手持ちでグラインダーを使っている時にバックラッシュを起こしたのかもしれない。想像するだけでも痛くなる。安全教育を徹底してほしいものだ。
労災がどうなっているのかも公開してほしい。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年12月22日午前9時58分~)
※滞留水移送は実施中
◆3号機
1号機と同じ4項目
※滞留水移送は停止中(停止から22日)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ3の当社および第三者機関による分析結果[採取日1月6日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
平成27年1月15日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年1月16日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
1月15日分のデータでは、地下貯水槽ドレン孔水で最高値は「iの北東側」で200Bq/L。地下貯水槽漏洩検知孔水では「iの北東側」での72,000Bq/Lと微増。「iiの北東側」で6,100Bq/L。「iiiの北東側」で2,100Bq/L。「iiiの南西側」で12,000Bq/L。(ともに全ベータの値)