ガレキ撤去スケジュールは2016年度に後倒し。1号機屋根パネルに穴をあけ、飛散防止剤を散布する作業が始まる。地下水バイパスでは揚水井No.11が藻のようなものを大量に汲み上げたため15日からポンプを停止とのことだが、16日に採取された水の分析結果が発表されている謎。
10月22日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
高線量の廃棄物を運搬するトレーラーから油漏れ
油漏れを起こしたのは、汚染水から取り除いた放射性物質を濾し取った吸着塔を運搬するためのトレーラー。場所は中・高濃度汚染水や廃棄物が保管されているGエリアにあるセシウム吸着塔一時保管施設。空間線量が高いエリアだと思われる。
※10月21日午後2時38分頃、構内Gエリア吸着塔一時保管施設において、吸着塔運搬用トレーラーから油が漏えいしていることを、協力企業作業員が発見。
同日午後2時50分に双葉消防本部へ連絡。
その後、当社社員2名(自衛消防隊員)が現場を確認したところ、油が道路に約20mにわたって滴下していたことが分かった。漏れた油は、トレーラーのパワーステアリング用のオイルで、現在エンジンを停止させた状態にあり、油の滴下は止まっている。また、滴下した油については吸着材による拭き取りを終了。
富岡消防署により、同日午後4時に「トレーラー駆動系の油漏れ」と判断された。
Gエリアの位置関係は下のPDFファイルの1ページ目で確認できる。地図の右側、事故原発敷地でほぼ一番南側にある。
1号機 ~建屋カバー屋根パネルに穴をあけ、飛散防止剤を散布する作業を開始
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
※使用済燃料プールからの燃料取り出しに向け、原子炉建屋5階に堆積した瓦礫の撤去作業を進めるため、原子炉建屋カバーの解体を行う。
当該カバーを解体しても、1~3号機からの放射性物質の放出による敷地境界線量(0.03mSv/y)への影響は少ないものと評価。
当該カバー解体作業は、飛散防止剤散布やガレキ吸引・ダスト吸引等の放射性物質の飛散抑制対策を十分に実施する。
10月22日午前7時8分、飛散抑制対策の一環として、当該カバー屋根パネルを取り外す前に同パネルに孔をあけ、飛散防止剤を散布する作業を開始。
作業にあたっては、ダストモニタおよびモニタリングポストのダスト濃度等の監視を十分に行いながら着実に作業を進める。
昨年夏に実施された3号機建屋上部のガレキ撤去作業では、高いレベルの放射性物質を含んだダストが20キロ以上も飛散し、農作物を汚染したと指摘されている。建屋カバーの解体作業は当初はこの夏、遅くとも9月下旬から開始される予定だったが、10月15日になって、作業を後倒しにすることが発表された。
建屋カバーの屋根パネルに穴をあけて飛散防止剤を散布し、さらに6枚の屋根パネルのうち2枚を外して状況を確認するのは9月発表のスケジュールと大きく変わらないが、その後屋根パネルを一旦戻し、建屋カバー解体作業は来年3月以降に実施する計画に変更されている。
これによって2015年度から開始とされていた1号機上部のガレキ撤去作業は、2016年度の開始と大幅に延期されている。
※10月15日に発表されたリスケに関しては、「福島 1号機の核燃料取り出し遅れる可能性も」(NHK)ほか、読売新聞でも建屋カバー解体スケジュールが後倒しされるという内容の記事が発信されていたが、この日始まった飛散防止剤散布作業については、多くのメディアが横並びで「1号機の建屋カバー解体始まる」というニュアンスで記事を配信している。
2号機~6号機
新規事項なし
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年10月11日午前10時46分~)
※滞留水移送は稼働中
◆3号機
2号機と同じ4項目に加えて、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年10月11日午前10時5分~)
※滞留水移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス ~揚水井No.11は10月15日から停止中。藻のような生物が大量に汲み上げたため。14日にサンプル採取・分析されたタンクグループ3からの海洋排出が間近に迫る
※地下水バイパス揚水井No.11において、藻のような生物が大量に汲み上げられたことから、原因調査のため10月15日よりポンプの汲み上げを停止。現在も調査を継続しているが、今後、当該揚水ポンプについては分解清掃を行う予定。なお、作業期間は2週間程度を予定している。
15日から汲み上げ停止とのことながら、10月18日発表の地下水バイパス揚水井戸分析結果の資料には、10月16日採取分の揚水井No.11のデータが記載されている。謎だ。
※1~4号機原子炉建屋等への地下水流入抑制対策として設置した地下水バイパス設備について、地下水バイパス一時貯留タンクグループ3の当社および第三者機関による分析結果[採取日10月14日]は同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
10月21日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。