2014年10月17日 今日の東電プレスリリース

台風19号にともなう雨の後、タービン建屋東側地下水観測孔No.1-6の地下水の放射線量が引き続き高いものの、護岸近くの海水のデータは示されず

10月17日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。

西門のモニタリングポストが欠測

※10月17日午前11時30分頃、西門可搬型モニタリングポストによる測定が停止していることを当社社員が確認。このため、午前11時30分および午後0時の測定が欠測。

その後、午後0時30分より代替サーベイによる測定を実施し、欠測前の値と比較して有意な変化はない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年10月17日

富岡町の小学校のグラウンドに設置されてた可搬型モニタリングポスト。西門のものと同じ型かどうかは不明だが、原発事故被災地ではよく見かけるタイプのバッテリー駆動型モニタリングポストのひとつだ。「可搬」を英語に訳すとポータブルということだが、モニタリングポストに関しては、「動かすことも可能」という字義通りの意味になるらしい

potaru.com

港湾内海底土被覆工事で、協力企業作業員が作業中に右手小指の指先を切断

※10月17日午後1時30分頃、港湾内海底土被覆工事において、

協力企業作業員(男性)が作業中に右手小指の指先を切断。

午後2時に入退域管理棟救急医療室に入室し医師の診察を受けたところ、緊急搬送の必要があると判断し、午後2時34分に救急車を要請した。

なお、当該作業員に身体汚染はなかった。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力

労働災害を発生させない意識は高いはずだが、それをも上回る過酷な状況が事故原発の現場にはあるということだろう。今後40年も続くことになるだろう事故原発の廃炉作業の安全を、最前線で働く作業員の方々はもちろん、東京電力の社員の方々も、周辺地域の方々に対しても、ただただその安全を祈るのみです。

1号機~6号機

新規事項なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

※滞留水移送は停止中

◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年10月11日午前10時46分~)

※滞留水移送は稼働中

◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年10月11日午前10時5分~)

※滞留水移送は稼働中

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中

地下水バイパス 〜通算28回目となる海洋排出が間近

※地下水バイパス一時貯留タンクグループ1の当社および第三者機関による分析結果[採取日10月9日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

10月16日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力

1~4号機タービン建屋東側 〜地下水観測孔No.1-6の地下水が引き続き高い水準

<最新のサンプリング実績>
10月15日に採取した地下水観測孔No.1-6の地下水の分析値について以下の通り変動がみられた。

<今回(10月15日)採取分>
セシウム134 64,000Bq/L(過去最高値)
セシウム137 190,000Bq/L
マンガン54  510Bq/L
コバルト60  2,100Bq/L
全ベータ   6,100,000Bq/L

<前回(10月13日)採取分>
セシウム134 61,000Bq/L
セシウム137 190,000Bq/L
マンガン54  700Bq/L
コバルト60  3,600Bq/L
全ベータ  7,800,000Bq/L

地下水観測孔No.1-6については、これまで2回連続(採取日10月9日、13日)で過去最高値となっており、今回の分析結果についてもセシウム134が過去最高値となっているが、前回と比較して有意な上昇ではない。念のため、地下水観測孔No.1-6および近傍のNo.1-14、No.1-16について、1週間程度監視を強化していく。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力

「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」ページに1〜4号機東側岸壁の海水についての報告はない。

1~4号機サブドレン観測井

新規事項なし

※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。

地下貯水槽

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年10月17日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太