台風の影響と考えられる漏えいが複数検知される
10月6日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
台風の影響か。1号機では廃棄物処理建屋入口上部にあるダクト貫通部からタービン建屋に雨水が流入。3号機では建屋西側から流入した雨水が1階北東側の漏洩検知器を動作させる
※10月6日午前10時59分頃、1号機タービン建屋1階南側電気品室の漏えい検知器が動作。現場を確認したところ、台風の影響により、1号機廃棄物処理建屋入口上部にあるダクト貫通部から流れ込んだ雨水が、漏えい検知器を動作させていることを確認。
また、同日午前11時7分頃、3号機原子炉建屋1階北東の漏えい検知器が動作。webカメラによる現場確認を行ったところ、原子炉建屋1階西側から水の流入を確認。原子炉建屋1階西側については、原子炉への注水配管、使用済燃料プール代替冷却系配管、滞留水移送配管等がないことから、機器ハッチおよび人員用ハッチ等より雨水が流入し、検知器を動作させたものと判断。
なお、同日午後0時30分現在、3号機のプラントデータ(炉注水流量、燃料プール水温度等)に有意な変動は確認されていない。
事故から3年半が経過しても、1号機ではダクトの開口部を通して隣の建物から雨水がタービン建屋に流れ込む状況。3号機にいたっては、建屋の西側から流れ込んだ雨水が、建屋北東側の漏洩検知器を作動させてしまう。
[4号機からの燃料移送]今週はキャスク移送1回、使用済み燃料22体を共用プールに移送
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年10月2日午前11時7分~)
※滞留水移送は稼働中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年10月2日午前10時10分~)
※滞留水移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス ~10月3日海洋排出時のサンプリング結果
同日、この際の南放水口付近の海水についてサンプリングを実施し、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
※同日とは10月3日
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
0月5日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
新規事項なし
「福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果」では、護岸地下水のトリチウム濃度を発表。
2,3号機ウェルポイント汲み上げ水では、過去最高値となる10,000Bq/Lを記録(これまでの最高値は2014年9月28日の9,700Bq/L)。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年10月6日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
10月5日分のデータでは、地下貯水槽ドレン孔水で最高値は「iの北東側」での230Bq/L。地下貯水槽漏洩検知孔水では「iの北東側」での110,000Bq/L。(1立方センチ当たりで発表された数値をリットル単位に換算)