仙台・七夕まつりと旅行好きのおじいちゃん

仙台・七夕まつりについて

昨日から東北の仙台で七夕まつりが始まっている。

仙台・七夕まつりの歴史は古く、伊達政宗公の時代から続いている。青森ねぶた祭り、秋田竿燈まつりと共に東北三大祭りの一つに数えられている。

なぜ8月に七夕まつりが行われるのだろうと不思議に思う方もいるかもしれない。これは七夕まつりが始まった時と今では使われている暦が異なるからだそうである。

もともと七夕まつりは旧暦の7月7日に行われていた。旧暦とは、現在使用されているグレゴリオ暦に代わる前の「天保暦」のことを通常は指す。現在の暦とは概ね1か月ほどずれており、旧暦の7月7日は現在の8月7日前後にあたる。明治時代に現在の暦に変わった際、仙台の七夕祭りは旧暦の7月7日にあたる毎年8月6~8日に開催されることになったという。

仙台・七夕まつりと旅行好きのおじいちゃん

仙台の七夕まつりに行ったことはないけれど、毎年、同まつり開催のニュースを聞くと、必ずと言っていいほど思い出す人がいる。

それは、ひとりの旅行好きのおじいちゃんである。おじいちゃんとは20年ほど前、JR常磐線の仙台行の各駅電車で出会った。当時、学生だった私は、夏休みに青春18切符を使用して北海道旅行へ行く途中だった。おじいちゃんは仙台で開催される七夕まつり行くために電車に乗っていた。

その日、私は千葉の実家を出発して我孫子駅で常磐線に乗った。電車はいわき駅止まりで同駅にて仙台行の電車を乗り換えた。乗り換えた車両の席はボックス型シートであった。座った向かいの席には初老の男性が一人で座っていた。それが、旅行好きのおじいちゃんとの出会いだった。

第一声をどのように話しかけたかは覚えていない。けれども会話は私から声をかけて始まった。

おじいちゃんは東京の品川に住んでおり、旅行が好きで青春18切符でよくひとり旅にでるという。仙台の七夕まつりが好きで何度も行ったことがあると言っていた。出会った日もやはりお祭りを見に仙台へ行くとのことであった。

会話の内容は主におじいちゃんが訪れた各地の旅話であった。なかには私が子供の頃に住んでいた町もあったことから会話は弾んだ。いわきから仙台までの数時間、ずっと二人で話をしていた。

電車が仙台駅に到着すると、おじいちゃんはお祭りを見るために下車した。
私は北海道を目指して電車を乗り換える。別れ際に、お互いの連絡先を交換した。

おじいちゃんと別れた後、私は青森駅まで北上を続け、そこからフェリーで北海道に渡ると、道内を見てまわった。

1、2週間ほど北海道旅行をした後、千葉の実家に戻った。すると一通の手紙が届いていた。旅行好きのおじいちゃんからであった。

私は嬉しくなり、すぐに返事を書いた。すると再びおじいちゃんから手紙が来た。そのような手紙のやり取りが、2、3回ほど続いた後、東京で再会することになった。再会は、おじいちゃんが映画好きでもあったことから、試写会を一緒に見に行き、鑑賞後に新橋の飲み屋で一杯やった。

その後、年に2、3回程度、一緒に映画を見にいったり飲んだりしていたものの、私が就職してからは、年賀状以外につながりがなくなってしまった。

最後に飲みに行ってから、もうかなりの時が経つ。年賀状でお互いの健康を確認してはいるものの、毎年、仙台・七夕まつりの時期になると「元気にしているのだろうか」「今年もお祭りを見に仙台へ行っているのだろうか」と旅行好きのおじいちゃんを思いだす。

おじいちゃんが絶賛し、幾度となく勧めていた仙台・七夕まつりは明日、最終日を迎える。

仙台

参考WEBサイト

Text:sKenji