今週金曜日、引退したブルートレイン「日本海」の車両を再利用した宿泊施設が岩手県の岩泉町にオープンします。
列車を再利用した珍しいホテル
再利用されるブルートレインは東日本大震災の支援活動を行っているNPO法人「岩手未来機構」がJR東日本から購入した後、岩泉町に寄贈されたものです。すでに7月20日からプレオープンウィークとして列車内部を公開しており、8月1日から一般宿泊が開始されます。
同NPO法人のWEBサイトによると、寝台列車を利用した宿泊施設は大変珍しいとのことです。同様の施設は全国で5件しかなく、そのうちブルートレインを利用したものは現在、鹿児島県と三重県の2件しかありません。岩泉町にオープンするものは寝台列車を利用したホテルとしては、東日本で唯一の宿泊施設だそうです。
列車ホテルは、A寝台1両(オロネ 24-5)、B寝台2両(オハネフ25-121、オハネ 25-151)の計3つの車両からなっています。いずれも貴重なブルートレインの寝台車両です。そのうちA寝台車両は生産台数が少ない「開放型A寝台」と呼ばれるもので特に希少なものです。
寝台特急「日本海」と貴重なブルートレイン車両
鉄道車両についてそれほど知らない方でも、ブルートレインという名称は知っている方が多いかもしれません。鉄道ファン垂涎の車両です。ちなみにブルートレインとは愛称であって正式名称ではありません。1958年に投入された寝台特急「あさかぜ」の新型客車がその車両の色から「ブルートレイン」と呼ばれるようになりました。以降、青い車両の寝台特急がブルートレインと呼ばれるようになっています。
オープンするホテルに利用されているブルートレイン「日本海」は、それまで大阪・青森間を結んでいた急行列車が、1968年に寝台特急となった際に誕生しています。路線の大部分が日本海沿いに走っていることから「日本海」と名付けられ、1000㎞を超える長距離を約15時間かけて結んでいました。最盛期には2往復が運行され、そのうち1往復は函館まで延長運転されていました。しかし、2011年には乗客数がJR発足時の1987年と比べて4分の1にまで落ち込むなど、利用者が減ってついに2012年3月、定期運行が廃止されてしまいました。
「日本海」を始めブルートレインは飛行機、新幹線などの高速な移動手段との競争に勝てずに次々と姿を消しています。今年3月には上野・青森間を結ぶ「あけぼの」が廃止され、現在残っているものは「北斗星」のみとなっています。その北斗星も廃止が検討されているそうです。
宿泊施設詳細情報
ブルートレイン「日本海」を再利用したホテルは、岩泉町の「ふれあいらんど岩泉」内にあります。「ふれあいらんど岩泉」はオートキャンプ場やコテージのほか、体験農園、野外ステージ、パークゴルフ、多目的広場などがあるレジャー施設です。下記、宿泊施設の詳細情報です。
列車ホテルは1車両の貸切利用となります。上記の基本料金は1両の使用料金であり、使用人数では割れば大変リーズナブルです。なお、列車ホテルがある「ふれあいらんど岩泉」への入場料は無料です。
複数家族や仲間同士での利用に最適です!
寝台特急には旅情を感じさせる独特の雰囲気が漂っています。小学生の頃、京都から東京まで寝台特急に乗りました。その時に感じた高揚感は今でも忘れることができません。また、海外を旅行していた際にもブルートレインと同じ、ベッドが2段、3段となっている寝台車両に乗ったことがあります。言いようのない旅のおもむきを感じ、長時間の移動も苦になりませんでした。今思い返すと、寝台列車はまるで魔法にかけられたような乗り物でした。
寝台列車が次々と姿を消しているなか、「ふれあいらんど岩泉」にあるブルートレイン「日本海」を再利用したホテルは、めったに泊まることができない宿泊施設です。
気の合った仲間や仲の良いご近所の家族などで車両を借り切って、パークゴルフ大会を催したり、近くにある龍泉洞観光と組み合わせれば、きっと素敵な時間を過ごせると思いますよ♪
ふれあいらんど岩泉・ブルートレインの宿泊施設
参考WEBサイト
Text:sKenji