2014年7月11日 今日の東電プレスリリース

5号機の油漏れの原因を、エア抜き管内に詰められたスチールウールが細すぎたからとの推測を発表

7月11日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。

5号機残留熱除去系海水ポンプからの油漏れの続報

原因調査の結果、当該モータについては、東日本大震災の津波の影響により損傷を受けたことから、震災後の平成24年7月に新品に交換。

モータはオイルベーパー対策として気抜き管内に金属製ウールが挿入されているが、交換したモータについては、従来品の金属製ウール(カールケート)に比べ目の細かい金属製ウール(スチールウール)が使われていたため、潤滑油の継続使用によるオイルベーパー発生量の増加(潤滑油使用可能範囲内)に伴い、目詰まりを起こし当該漏えい箇所より漏えいしたものと推定。

また、同時期に交換を実施した残留熱除去系海水ポンプ(C)のモータについても目の細かい金属製ウール(スチールウール)が使われていることを確認。

<再発防止対策>
・従来品の金属製ウール(カールケート)に交換し運転確認を実施(7月8日実施済)。
・福島第一原子力発電所において、金属製ウールを使用しているモータについて、従来品の金属製ウール(カールケート)が使われていることの確認を実施。
・オイルベーパー対策品のモータを購入する際には、適切な金属製ウールが挿入されていることを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月11日

ベーパーは蒸気のこと。車のブレーキオイルに気泡が生じるベーパーロックと同様に、モーターの運転による気泡を抜く管の中のスチールウール(金属製ウール、カールケートも同じもの)が目詰まりを起こしたとの原因推定。

1号機 ~タービン建屋地下からの高濃度滞留水移送を停止~

・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

加えて、タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送停止を発表。

・1号機タービン建屋地下→1号機廃棄物処理建屋へ高濃度滞留水の移送を実施(平成26年7月10日午前9時49分~午後6時35分)

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月11日

2号機~5号機

新規事項なし

◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年7月10日午前10時28分~)

◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年6月16日午後2時42分~)

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動(4号機原子炉建屋および共用プール建屋の天井クレーンと燃料交換機の年次点検により、一時中断)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月11日

6号機 ~原子炉ウェルからの水抜きのため、燃料プール冷却を停止~

・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系停止中

加えて、原子炉と使用済燃料プールを隔てるゲート閉鎖、閉鎖後の水抜き作業のための使用済み燃料プールの冷却停止について発表。

※6号機については、燃料管理の一元化を図り6号機全体の安全性を高めることを目的として、原子炉内の燃料集合体を使用済燃料プールに移動を実施。

燃料プール冷却浄化系の冷却範囲を使用済燃料プールに限定するため、7月8日、原子炉と使用済燃料プールを隔てるゲート(プールゲート)を閉鎖*。

使用済燃料プールゲート閉鎖後の原子炉ウェル水抜き作業のため、7月11日午前10時18分に冷却を停止(停止予定時間:7時間)。

なお、冷却停止時の使用済燃料プール水温度は24.0℃。冷却系停止時のプール水温度上昇率評価値は0.291℃/hで、停止中のプール水温上昇は約2.1℃と評価されることから、運転上の制限値65℃に対して余裕があり、使用済燃料プール水温度の管理上に問題ない。

*使用済燃料プールゲート閉鎖作業は、震災前の定期検査時にも行っていた作業であり、実績を有する作業

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月11日

共用プール・水処理設備および貯蔵設備

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

地下水バイパス

新規事項なし

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

平成26年7月10日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月11日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月11日

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月11日

1~4号機タービン建屋東側

<最新のサンプリング実績>
7月10日に初めて採取した1~4号機タービン建屋東側の地下水観測孔No.1-15の測定結果は以下のとおり。
<地下水観測孔No.1-15の測定結果:7月10日採取分>
・セシウム134:検出限界値未満(検出限界値:0.49 Bq/L)
・セシウム137:0.88 Bq/L
・全ベータ :110 Bq/L

その他については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月11日

1~4号機サブドレン観測井

新規事項なし

地下貯水槽

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月11日

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年7月11日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太