紙面から見る東北 ~旧警戒区域で、初めての避難指示解除~

4月1日午前0時。福島第一原発事故によって、避難指示解除準備区域に指定されていた福島県田村市都路(みやこじ)町の避難指示が解除されました。以下、解除を伝える、本日付の福島民報の記事です。

政府は1日午前零時、東京電力福島第一原発事故に伴う田村市都路町の避難指示解除準備区域に対する避難指示を解除した。福島第一原発から半径20キロ圏に設定された旧警戒区域での避難指示解除は初めて。

引用元:都路の避難指示解除 旧警戒区域で初 田村市長「復興へ第一歩」 | 県内ニュース | 福島民報

記事にも書かれているように、福島第一原発から半径20キロ圏内では、初めて避難指示が解除されました。

指示の解除条件ですが、平成25年10月11日に内閣府原子力被災者生活支援チームが公表している資料によると、年間積算線量が20mSv以下となることが確実であることが確認された地域において、

 ・日常生活に必須なインフラが概ね復旧
 ・生活関連サービスが概ね復旧
 ・子どもの生活環境を中心とする除染作業が十分に進捗
した段階で、県、市町村町、住民の方々との十分な協議を踏まえて解除するとしています。
(※都路町の住民の方には、解除に反対だった人もいるようです)

今回、避難指示が解除されたとは言っても、他の地域と比べると、依然高い放射線量です。強い不安を持っている住民の方もおり、以前のように安心して生活ができないという声が、当然あります。

また、放射線以外にも様々な問題を抱えており、住民の方々にとって、避難指示解除が、単純に朗報とは言い切れないようです。

次の記事は、毎日新聞が本日付で報じたものです。引用中にある声は、都路地区のリーダー的存在だった方のものです。

避難区域の解除をめぐり意見が分かれ、住民が分断されるのを肌で感じてきた。決定的なのは国からのお金だ。早期帰還者には1人当たり90万円が支給される。「うちは息子夫婦と孫3人も帰る。いくらもらえるか、皆知ってんだ」。金額のことで互いの顔色をうかがう雰囲気。「解除に反対する人は『まだもらいてえのか』って言われた」。解除が先送りになれば、月額10万円の賠償金が支給され続けるからだ。「金で分断されたんだ。もう前みたいには絶対戻れねえ」と嘆く。

引用元:<福島・都路>3年ぶり我が家 避難指示解除で帰還始まる (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

都会に比べて、近所の結びつきが強いと言われる地域社会。そこでのコミュニティの崩壊は、近所付き合いがほとんどのない人間には、想像できないほどの苦痛、負担があるのではないでしょうか。

たとえ、避難指示が解除されたとしても、放射線への強い不安、賠償問題や生活不安、近所の結びつきなど、福島第一原発事故以前とは、大きく異なった生活を、住民の方が、強いられるのは、避けられないと思われます。

記事に書かれている住民の方の「もう前みたいには絶対戻れねえ」という言葉が、原発事故の全てを物語っているかのように感じます。

田村市都路町

参考WEBサイト

Text:sKenji