2014年3月21日 今日の東電プレスリリース

3月21日(金曜日)公開の「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」を、前日からの変化や変更を中心に見ていきます。

2号機原子炉建屋排気設備出口ダスト放射線モニタA系の指示値が急上昇。警報が発生(続報)

2号機原子炉建屋排気設備出口ダスト放射線モニタA系の指示値が9.96×10∧-8Bq/cm3から2.24×10∧-4Bq、つまり千倍から万倍に近いレベルに上昇した原因について、新規事項として記載しています。廃炉のために不可欠なガレキ撤去すら、これだけの線量増加を引き起こすということです。

※3月20日午前11時9分、2号機原子炉建屋排気設備*出口ダスト放射線モニタA系の指示値が9.96×10-8Bq/cm3から2.24×10-4Bq/cm3に上昇し、「ダスト放射線モニタ高」警報が発生。その後、同日午前11時11分に指示値が通常に戻り、警報は解除した。同日午後0時現在、プラントパラメータについて異常は確認されていない。

その後、同建屋排気設備出口ダスト放射線モニタB系の指示値についても、同日午前11時9分にA系と同様に変動し、午前11時11分に指示値が戻っていたことを確認。なお、排気設備出口ダスト放射線モニタB系では、「ダスト放射線モニタ高」の警報発生には至っていない。

モニタリングポスト指示値および付近の可搬型ダストモニタの指示値に異常がないこと、排気設備出口ダスト放射線モニタの指示値が通常値に戻っていることから、周辺環境への影響はないものと考えている。

*原子炉建屋排気設備…2号機原子炉建屋には排気設備が設置されており、建屋内の空気をフィルターを通して放射性物質を除去したうえで排気している。排気の際に、排気設備出口側空気のダストの監視を行う設備(A系、B系)がある。
(以下、新規事項)

その後の現場調査において、当該ダスト放射線モニタが設置されているコンテナハウス付近(屋外)にて、警報発生時にガレキ搬出機器の移動作業を実施していたことがわかった。

当該ダスト放射線モニタの建屋側にある放射性物質除去用に設置された排気設備のフィルタユニットの線量計指示に変動はなかった。

また、当時、2号機原子炉建屋内でダストが発生する作業は実施していなかったことから、同モニタの指示値の変動は、ガレキ搬出機器(表面線量約4.4mSv/h)の吊り上げ、吊り下ろしの影響によるものと推定した。

当該ダスト放射線モニタのフィルタろ紙のガンマ線核種分析を実施したところ、同モニタA系およびB系のセシウム134、セシウム137などのガンマ線核種は、全て検出限界値未満だったことから放射性物質の放出はなかったものと考えている。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月21日

★ 大したことありませんから、が日常化すると、見ている側もマヒしてくる。
そんなことがあってはならないのだから、複数の人が常にチェックして行くことが不可欠だと確信しました。測定されているのは1立方cm、つまり1ccでの値。1リットルなら1000倍、1立方メートルに換算するとそれぞれ100万倍の数値になることも忘れてはなりません。

これから先、廃炉が本格化する中では、建屋の解体がさらに加速していきます。つねにガレキを扱う作業が続くことになります。その際にどれだけの放射性物質が環境中に放出されるのか――。

その危険性はアスベストの比ではないでしょう。
今回は、排気設備の放射線モニタがたまたまガレキ搬出機器の移動による線量増加を拾った可能性もあります。ガレキ撤去作業時の空間線量については、現在以上の計測ネットワークを構築し、環境への放出を防ぐ体制を組む必要があると考えます。

1号機〜6号機

新規事項なし。

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・3月14日午前6時48分、1号機使用済燃料プール代替冷却系について、1,2号機排気筒の落下物に対する防護対策等を実施するため、冷却を停止(停止時プール水温度:12.0℃)。なお、停止期間は3月24日までを予定しており、冷却停止時のプール水温度上昇率評価値は0.066℃/hで停止中のプール水温上昇は約16.5℃と評価されることから、運転上の制限値60℃に対して余裕があり、使用済燃料プール水温度の管理上問題なし。

◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年3月12日午後3時48分~)

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)

※残留熱除去系ポンプ吸込ライン(A系、B系共通ライン)に設置されている安全弁(F-005)の点検が終了したことを受け、タービン補機冷却水系熱交換器(C)海水出入口弁他の点検を行うため、補機冷却海水系を3月18日から24日にかけて停止する。当該期間においては、燃料プール冷却浄化系(FPC系)が使用できなくなるため、残留熱除去系による非常時熱負荷運転(使用済燃料プール冷却)を行い、使用済燃料プール冷却を実施する。
3月17日午後1時50分、FPC系を停止し、同日午後2時26分残留熱除去系(RHR系)による非常時熱負荷運転を開始。なお、使用済燃料プール水温度は17.5℃と変化なし。

共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況

新規事項なし。

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

※ ABCの各系とも停止しているはずのALPSが、日報の上では今日も動いていることになっています。実際に動かしているとしたら、処理水をどこに移送しているのか、教えていただきたいものです。

★ けっこうひどい話ですよ、これ。

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

サンプリング結果についての記載です。

<最新のパトロール結果>
3月20日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による水位監視(トレンドによる監視または警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月21日

※H4エリアIグループNo.5タンクからの漏えいを受け、福島第一南放水口付近、福島第一構内排水路、H4エリアタンク周辺および地下水バイパス揚水井No.5~12のサンプリングを継続実施中。

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月21日

<最新のサンプリング実績>
新たに設置した地下水観測孔G-2において、3月19日に初めて採取した地下水のトリチウムの分析結果は以下の通り。今後も監視を継続していく。
(観測孔:G-2(新規))
・3月19日採取分:
トリチウム 140 Bq/L
全ベータ 120 Bq/L(お知らせ済み)

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月21日

※ 異常がないことを望むことが許されているのは、わたくしたち一般市民、そして被害に遭われた方がただけなのです。ステークホルダーをごっちゃにされては困ります。事業者の方は、異常が起こりえることを前提に行動することが求められているのです。そのこと、お忘れなきようにお願いします。

1~4号機タービン建屋東側の状況

異常ないそうです。

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月21日

地下貯水槽の状況

こちらも異常ないのだそうです。

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月21日

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年3月21日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太