2014年2月26日 今日の東電プレスリリース

2月25日に公表された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」を、前日からの変化や変更を中心にチェックします。

冒頭特記事項

ガソリンの詰め替え中に火災が発生し、作業員のカバーオールの一部が焼けたと報告。

※2月25日午後3時30分頃、構内中央部交差点近傍の給油所において、作業員がドラム缶から給油器へガソリンを移送した後、移送ポンプに付着したガソリンの拭き取りをしていたところ発火し、作業員が着用していたカバーオール前面の一部に引火。カバーオール前面の一部が燃えたが、速やかに消火したことから、作業員に火傷等のけがはなし。また、汚染もないことを確認。
同日午後4時53分、双葉広域消防本部へ連絡。その後、午後7時30分、富岡消防署により火災であると判断された。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月26日

ここでいう「カバーオール」とは、防護服のことと思われます。
大事に至らなくて幸いでした。

1号機~4号機

新規事項の記載なし。

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋→3号機タービン建屋へ高濃度滞留水を移送中(平成26年2月22日午前10時37分~)

◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年1月24日午後2時37分~)

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

5号機

・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

新規事項として、前日報告されたろ過装置確認のために冷却系を停止した件の続報が記載されています。

※2月25日午前10時15分、5号機残留熱除去系B系のサプレッションチェンバー側吸込ストレーナの健全性確認を行うため、残留熱除去系B系については原子炉停止時冷却モードを停止。残留熱除去系A系は点検停止中のため、B系停止により全系停止。
同日午後4時12分、確認作業が終了したことから、残留熱除去系B系の原子炉停止時冷却モードを起動。運転再開後の当該冷却系の運転状態について、異常なし。なお、運転再開後の原子炉水温度は、33.5℃(同日午後4時50分時点)であり、運転上の制限値100℃に対して十分余裕があることを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月26日

6号機

・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

新規事項として、補機冷却海水系の全台停止中に残留熱除去系による非常時熱負荷運転でプールの冷却を開始したところ、地下にある圧力抑制室への水漏れが発覚し運転を停止。プールの冷却機能が失われた件についての続報。

2月25日午前1時28分、残留熱除去系A系による非常時熱負荷運転(使用済燃料プール冷却)を再開。

同日午後3時52分、補機冷却海水系の復旧が終了し、使用済燃料プール冷却系の運転に切り替える準備が整ったため、残留熱除去系A系による非常時熱負荷運転を停止。

同日午後4時35分、使用済燃料プール冷却系の運転を再開。運転再開後の運転状態について、異常なし。使用済燃料プール冷却系の運転再開後の使用済燃料プール水温度は、18.3℃(同日午後4時55分時点)であり、運転上の制限値65℃に対して十分余裕があることを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月26日

共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況

新規事項なし。

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

多核種除去設備(ALPS)A系の処理停止

2月26日付「報道関係各位一斉メール」によると、多核種除去設備(ALPS)の3系統あるうちのA系統が処理停止したとのことです。

3系統のうちC系は作業のため停止中、B系は異常ないとのことです。

 多核種除去設備(ALPS)では、汚染水処理設備にて処理した廃液を用いた試験(ホット試験)を行っていますが、本日(2月26日)午後0時21分、インバータ故障警報が発生し、3系統(A系,B系,C系)あるうちの1系統(A系)のブースターポンプNo.2が停止しました。これに伴い、A系が循環待機運転に移行しております。

 *ブースターポンプ:鉄共沈処理(有機物の除去、α核種の除去)や炭酸塩沈殿処理などをした水を吸着塔へ送るポンプ

 現在、現場状況等を確認しております。

 なお、同設備で試験運転を行っているB系には異常はありません。また、C系については、作業のため停止中でした。

 <参考>
 多核種除去設備の系統図は、下記資料の48ページをご参照ください。
 http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/images/l140218_03-j.pdf

引用元:福島第一原子力発電所 多核種除去設備(ALPS)A系の処理停止について|東京電力 平成26年2月26日

H4エリアタンクおよび周辺排水路の状況

引き続きタンクの監視と、タンク周辺のサンプリングを実施していると記載。新規事項はパトロール結果とサンプリング実績。

<最新のパトロール結果>
2月25日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β+γ線(70μm線量当量率))は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月26日

※H4エリアIグループNo.5タンクからの漏えいを受け、福島第一南放水口付近、福島第一構内排水路、H4エリアタンク周辺および地下水バイパス揚水井No.5~12のサンプリングを継続実施中。

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月26日

(H6エリアタンクと周辺の状況)

立ち入りを規制する区画をくぎるほど高濃度汚染水が漏えいしたH6エリアタンクについては、2月24日の記載を最後に、続報が伝えられることがなくなっています。

新規事項はおろか、項目も立てられていません。

27日付の報道関係各位一斉メールによると、2月28日(金)午後5時30分~、
Jヴィレッジ内「アルパインローズ」でH6エリアタンク漏えいに関する会見が行われるとのことです。

1~4号機タービン建屋東側の状況

25日に採取した地下水観測孔No.2-6のセシウム濃度上昇を新規事項として伝えた。

<最新のサンプリング実績>
2月25日に採取した地下水観測孔No.2-6について、セシウム134が前回値の検出限界値未満(0.44 Bq/L)より上昇し5.0 Bq/L、セシウム137が前回値0.78 Bq/Lより上昇し12 Bq/Lであることを確認。当該地下水観測孔のセシウム134およびセシウム137の分析結果は、これまで検出限界値未満か、検出限界値をわずかに超える程度であったが、今回10倍以上の値が確認されたことから、本日再分析を実施予定。
その他の測定結果は、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月26日

地下水が汚染されているのか、周辺からの流れ込みの影響なのかを検証するため、サブドレンピットでの観測を行っているとの記載のようです。(すみません、確証がとれていません)

※1~4号機建屋に隣接している井戸(サブドレンピット)の浄化試験をした結果、ピット内の溜まり水から放射性物質が検出されており、その流入経路としてフォールアウトの可能性があることから、新たに1~4号機建屋周辺に観測井を設置し、フォールアウトの影響について確認することとしている。
以下の水質観測井(1T-6)および新設サブドレン(N1,N2,N6~8)について、ストロンチウムの分析を実施。
[サブドレン観測井1T-6:平成25年12月2日採取分]
 ・セシウム134:検出限界値未満(検出限界値:0.82 Bq/L)
 ・セシウム137:検出限界値未満(検出限界値:0.84 Bq/L)
 ・全ベータ:13,000 Bq/L
 ・トリチウム:3,300 Bq/L
 ・ストロンチウム90:8,700 Bq/L

[サブドレンN1:平成25年12月3日採取分]
 ・セシウム134:検出限界値未満(検出限界値:0.97 Bq/L)
 ・セシウム137:検出限界値未満(検出限界値:0.97 Bq/L)
 ・全ベータ:検出限界値未満(検出限界値:12 Bq/L)
 ・トリチウム:36 Bq/L
 ・ストロンチウム90:検出限界値未満(検出限界値:0.47 Bq/L)

[サブドレンN2:平成25年12月18日採取分]
 ・セシウム134:検出限界値未満(検出限界値:0.66 Bq/L)
 ・セシウム137:検出限界値未満(検出限界値:0.71 Bq/L)
 ・全ベータ:検出限界値未満(検出限界値:11 Bq/L)
 ・トリチウム:110 Bq/L
 ・ストロンチウム90:検出限界値未満(検出限界値:0.48 Bq/L)

[サブドレンN6:平成25年12月2日採取分]
 ・セシウム134:検出限界値未満(検出限界値:0.75 Bq/L)
 ・セシウム137:検出限界値未満(検出限界値:0.98 Bq/L)
 ・アンチモン125:検出限界値未満
 ・全ベータ:検出限界値未満(検出限界値:15 Bq/L)
 ・トリチウム:160 Bq/L
 ・ストロンチウム90:検出限界値未満(検出限界値:0.45 Bq/L)

[サブドレンN7:1月23日採取分]
 ・セシウム134:1.1 Bq/L
 ・セシウム137:2.2 Bq/L
 ・全ベータ:検出限界値未満(検出限界値:13 Bq/L)
 ・トリチウム:18 Bq/L
 ・ストロンチウム90:検出限界値未満(検出限界値:0.44 Bq/L)

[サブドレンN8:1月14日採取分]
 ・セシウム134:1.3 Bq/L
 ・セシウム137:2.7 Bq/L
 ・全ベータ:検出限界値未満(検出限界値:11 Bq/L)
 ・トリチウム:55 Bq/L
 ・ストロンチウム90:検出限界値未満(検出限界値:0.43 Bq/L)

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月26日

たくさんのデータが並ぶとドキッとしますが、言わんとすることは、サブドレン観測井1T-6ではストロンチウムやトリチウム、全ベータが検出されたが、新たに設置されたN1,N2,N6~8では、トリチウム以外検出限界未満だったということのようです。

それにしても、核爆弾が爆発した後に降る死の灰の意味もある「フォールアウト」という言葉を使っているのはどういうわけでしょうか。

地下貯水槽の状況

止水の不備から貯水槽として利用できなくなった地下貯水槽。新規事項としては最新のサンプリング実績を記載。

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月26日

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年2月26日分の変更箇所についてピックアップしました。
構成●井上良太