冬だけ限定の活性原酒「雪っこ」

陸前高田や大船渡で知り合った人に酒好きだとバレると、「雪っこ飲んだ?」と必ず聞かれる。雪っこは酔仙酒造が造り売りしている冬季限定の白い日本酒。酵素や酵母が活きたままの「活性原酒」だ。

こちらの缶入りは180ml。
地元スーパー「MAIYA」などで入手できる。
(でもお値段はお店次第だったりする。コンビニは置いているところもあれば、同じ系列でも置いたいなかったりするので注意が必要だ)

で、この「雪っこ」、どうしてそんなに地元で愛さているかというと、真面目で丁寧な酒造りを続けてきた酒蔵の原酒であることと、販売期間が10月から4月までという限定賞品であることに大きな理由があるようだ。

酒蔵は酔仙酒造。陸前高田の、現在は栃が沢ベース向かいの広い駐車場が酔仙酒造のあった場所。津波で工場は壊滅した。いまは大船渡の山手に新たな酒蔵を建設して、そこで伝統の酒造りが継続されている。震災から間もない時期に、いち早く酒蔵を再建できたのは、酔仙酒造の酒造りの真面目さが地元で支持されてきたからにほかならない。以下、「雪っこ」の日本酒としてのスペック。

【精米歩合】70%
【使用米】岩手県産米
【使用酵母】協会9号
【日本酒度】-13.0
【酸度】1.3
【特徴】甘口

パッケージも可愛らしい甘口の濁り酒だが、別名は「白い小悪魔」。アルコール度数は20度以上21度未満とかなり高め。しかも甘口。といっても酵素や酵母が生きているから微発酵している感じ。白濁の原酒は数あるが、ベタベタ甘ったるくない爽やかさは雪っこならでは。口当たりの良さに酔いしれた女性が、居並ぶ男子に竹取物語並みの無理難題を押し付け、気仙郡随一の美男子が屈服したとの言い伝えも。

活性原酒「雪っこ」。全国7000万人の日本酒好きにお勧めしたい、冬の逸品です。

推薦●井上良太