医療支援のためフィリピンのレイテ島に渡った友人から、Facebookの手紙を受け取った。日本ではまるで津波のような高潮被害のイメージが大きいが、彼が向かったのは山の中。巨大台風そのものによる被害が酷いのだそうだ。
メッセージに添えらた写真の中にこんな一枚があった。
それは工事用の足場のようなものに掲げられたメッセージ。
Roofless Homeless
But Not HOPE less
Bangon ORMOC!
Bangon は現地の言葉で「立ち上がれ」という意味だ。ORMOCはこの看板が掲げられている町の名前。
屋根もない。家もない。
だけど、希望はある。
立ち上がれ!オルモック
がんばろう!石巻の看板が立てられた時の話を思い出した。
――町の人がみんな下を向いて歩いているように思えた。自分自身もそうだったかもしれない。だから町の人たちからよく見える場所に、みんなを勇気づける言葉を掲げようと思った。自分自身を奮い立たせるためにも。
「震災から数日後、落ち込んでいた仲間としゃべっていて、その時は自分も一緒に落ち込んでいたんですけど、『いや違うべ、がんばっぺ』ってその人に言ってしまったんですよ。
その時、待てよと思ったんです。俺もさっき同じように落ち込んでたのに、がんぱっぺって言ってんな。ああ、これは頑張んなきゃいけないってことなんだなって思って、そん時にがんばる決意をしたんです」
レイテ島の青い空の下でも、同じような出来事があったに違いない。
目頭が熱くなる。
いま、レイテに渡っているのはロシナンテスの大嶋一馬さん。ぼくの友だちだ。
震災直後、名取市閖上で八面六臂のはたらきをした彼の活躍を祈りたい。
大嶋さんを通してフィリピンの人たちを応援したい。
●TEXT:井上良太
特定非営利活動法人ロシナンテス東北事業部長、大嶋一馬さんのFacebook。