いわきの久之浜から石巻を経由して、気仙沼まで行ってきたという知人に土産話を聞きにいった。なんとその行程を2日でこなしたというのも驚きだったが、もっとびっくりしたのはこんな話。
ホヤぼーやが待つ気仙沼のあの場所で
「気仙沼に入った時にはもうランチタイムを過ぎててね、でも腹ペコだったから、ちょうど見かけた仮設商店街に入ったんだ。食べ物屋さんだけの商店街」
あ、それって気仙沼横丁でしょ?
「うん、そこそこ。せっかくだから牡蠣が食べたかったんだけど、昼間っから生牡蠣は無理だろうって相棒と相談して、じゃあサンマにしよう! 気仙沼といえばサンマだ! ってね。でも遅い時間だったから、開いてないかなぁって横丁の路地みたいな通路をうろうろしてたら…」
うんうん、でもどこかに入れたんですよね。なんてお店に行ったんですか?
「バギーってお店なんだ。お店の前にいたお姉さんに、まだ大丈夫ですか? って聞いたら、どうぞってことでお店に入って、サンマ定食食べながらお喋りしていたら、もう盛り上がって盛り上がって!」
うひゃ~、やられた~って感じ。店の外で立ち話している景色から、店の中のカウンターに座った雰囲気まで、ビビビッと想像できた上、自分までその場に居合わせたような気になってしまった。
おいしいが3倍盛りの3店舗
僕が「Buggy」に行ったのは、ちょうど1年前の冬の初めの頃だった。
以前お邪魔したことがある「大漁丸」というお店に入ったところ、
「わぁ、お久しぶり。よく来てくれたわね。でもね残念、いま満席なのよ。すぐには空きそうにないから、こっちのお店にしない?」
と、大漁丸のママさんに紹介してもらったのがバギーだった。
「娘たちがやってる店なんだ。よろしくお願いしますね」
とっても気風(きっぷ)がよくて、弁舌さわやかで、商売上手なんだけど、礼儀がきっちりしているママさんが、ぺこりとお辞儀をして大漁丸に戻っていった後、おいしく頂いたのが、ちょうど旬の戻りガツオだった。写真で見るとこってり脂が乗っているように見えるが、口に入れると予想外のあっさり感。しかも、ほろりと身が融けて、カツオのうま味が広がっていく。
「最高級のトロみたい」と話しかけたら、テーブルと厨房の間を忙しそうに行き来しながら、「そうでしょ」と娘さんが笑顔で応えた。
お客さんが多かったので、あまり長話はできなかったが、この時期ならではの気仙沼のグルメとか、店名の由来とかいろいろ教えてもらった。「Buggy」というお店の名前は「ONE PIECE」に登場する海賊の名前にちなんでいるのだとか。
海賊王ロジャーの部下だったが、ロジャーの死後シャンクスからの誘いを断り、わが道を行くバギー。ちょっと軽そうにも見えるけど、きっと何かを秘めているんだろうなと思わせる存在。そんな海賊の名前を冠したお店。興味あるでしょう?
ちなみに「大漁丸」の方はというと、マグロ船で料理長を30年務めた旦那さんと看板娘の奥さんが切り盛りする美味しくて、明るくて、元気が出て、しかもいろいろな相談にまで乗ってくれる漁師料理の専門店。マグロやカジキ、サメなど地元でしか食べられない料理はもちろんだけど、ママさんを間に話しているうちに、お客さん同士が親しくなったりするような、雰囲気がとてもいいお店。もちろんお酒も地酒を中心に各種取り揃えられている。
さらにファミリーのお店3店目として加わった「七輪屋500.com」は、気仙沼初の立ち飲みホルモン焼きと海鮮焼きのお店。フードメニューはオール500円!さらに早朝6時30分から朝食営業も!
気仙沼を訪ねたら、朝も昼も夜も、「気仙沼横丁で大丈夫!」ってことか!!
つながるっていいね。また行きたくなる!
気仙沼から遠く離れた地で、「バギー」というお店の名前を聞き、「そこって大漁丸さんちのファミリー店舗でね」なんて話が盛り上がって、また行きたいなぁと思ってしまう。これはすごいことだと思う。
復興屋台村気仙沼横丁は、県外や市外からやって来る人たちに気仙沼のことを大好きになってもらって、気仙沼のリピーターとして何度も訪れてもらいたいと願って運営していると、屋台村事務局の小野寺さんに聞いたことがある。
だから、この話みたいに気仙沼を訪ねたことがある人が、横丁のお店のことで、「行ったの? 自分も行ったよ。良かったよねぇ。次は一緒に行こうか」なんて話していることを知ったら、大漁丸ファミリーのみなさんはもちろん、ほかのお店の人たちも、屋台村事務局の人たちも、それからもちろんホヤぼーや君も大喜びしてくれるはず。
そんな大喜びのネタが、日本中のいろいろな場所で弾けていけばいいと思う。そのひとつを体験できて、よかった~とうれしく思う。
こんど行ったら、どんな料理が食べられるかな。どんな話が聞けるかな。
復興屋台村気仙沼横丁
宮城県気仙沼市南町4丁目2-19 TEL 080-1692-8000
大漁丸のみなさんの「1000日」
大漁丸さんは東京福生市「清岩寺」で開催される「1000日の集い」に出展される予定です。11月30日~12月1日、気仙沼市の美味しい海産物を販売の予定です。お近くの方、ぜひいらしてください。
●TEXT+PHOTO:井上良太
ママさんのFBも始まりました。見てるだけでも楽しくなる。見てると気仙沼に行きたくなる。そんなページをぜひどうぞ!