再生可能エネルギーについて

今月11日、福島県・楢葉沖約20キロ地点に再生可能エネルギーの実証実験施設として「浮体式洋上風力発電所」が試験を開始しました。

福島第一原発事故以降、日本のエネルギーあり方は多くの場所で議論されています。震災前、原子力は経済的でクリーンな発電であり、火力、水力と比較して先進的な発電方式だと思っていました。21世紀は原子力発電の時代になるかと思っていました。しかし今、状況は変わり、風力などの「再生可能エネルギー」が注目されています。

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーとは「一度利用しても比較的短期間に再生が可能であり、資源が枯渇しないエネルギー」と資源エネルギー庁では定義しています。太陽光発電、風力、水力、地熱、バイオマス発電などが当てはまります。

現在(2012年度)、日本の電力で再生可能エネルギーが占める割合は10%です。そのうち水力発電が8.4%を占めています。残り88.3%は天然ガスなどの火力発電であり、原子力発電は1.7%となっています。ちなみに震災前(2010年度)の原子力発電の割合は28.6%でした。
電力の約8割が再生可能エネルギーが占めるアイスランドに比べると、日本の再生可能エネルギーの割合は少ないと言えるかもしれません。

再生可能エネルギーの種類

再生可能エネルギーはいろいろとありますが、その中でも最近、注目されているものについて、ピックアップしてみます。

○風力発電
風の力で、風車を回して発電する方法です。安定した風(平均風速6m/s以上)が吹く場所に建設されます。風力エネルギーから電気エネルギーの交換効率がよく、太陽光発電やバイオマス発電に比べると比較的発電コストが低い発電方法です。工期もおよそ1年半ほどと短期で建設することができます。

近年増加している発電方法で、2011年度末で1870基あります。従来は陸上に作られていましたが、現在、洋上での風力発電の研究が進んでいます。洋上風力発電は「着床式」と呼ばれる海底に基礎を築いて、発電設備を作るのが主流ですが、水深が深い日本には適さないため、海に浮かべる「浮体式」の研究が行われています。冒頭の福島県・楢葉沖の風力発電施設が「浮体式」です。課題は、風車に鳥が接触するなど生態系への影響問題と、発電量が気象条件(風の有無)に左右されることです。

○地熱発電
地熱発電は、地中の熱で蒸気を発生させ、タービンを回して発電します。太陽光発電や風力発電に比べると、安定的に発電することができます。日本は火山国であり、地熱発電は有望な再生可能エネルギーの一つと考えられています。しかし、地熱発電に適した場所の多くが国立公園内にあり、 環境保護や景観のバランスを考えながら開発する必要がある点、大規模発電が難しい点、発電設備の完成に11~13年という時間がかかる点が課題となっています。

○太陽光発電
太陽光発電は太陽の光で発電します。他の発電方法の多くがタービンを回して電力を得るのに対して、太陽光発電は光のエネルギーを直接電力に変えています。太陽光の発電原理は、タービンを回す他の発電方法と比較するとイメージがしずらいかもしれません。太陽光の発電原理ですが、光が太陽光パネルの半導体に当たると電子が飛び出します。

その際に発生する電流を利用して発電するのが、太陽光発電だそうです。 一般家庭にも導入しやすく、メンテナスもほぼ必要ありません。日本での再生可能エネルギーとしては、水力発電に次ぐ発電量があります。課題は、発電量が気象条件(日照)に左右されることと、導入コストと言われています。

○バイオマス発電
資源エネルギー庁のWEBサイトでは、バイオマス発電を以下のように、定義しています。

バイオマスとは、動植物などから生まれた生物資源の総称。
バイオマス発電では、この生物資源を「直接燃焼」したり「ガス化」するなどして発電します。
技術開発が進んだ現在では、様々な生物資源が有効活用されています。

引用元:なっとく!再生可能エネルギー 再生可能エネルギーを知る、学ぶ

 様々な生物資源の一例をあげると、サトウキビ、木材、動物の糞、古紙など
 があります。廃棄物などの再利用や減少というメリットがありますが、
 課題はコストの高さです。

自家発電と再生可能エネルギー

平成24年7月より「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が開始されました。この制度は、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)により発電された電気を、電力会社が一定期間・固定価格で買い取ることを義務付ける制度です。一般家庭で発電された電力も買い取りの対象となっています。
再生可能エネルギーの自家発電について、設置費用を回収できるかどうかが気になりますが、災害時の備えとして導入を検討する価値はあるかもしれません。
一般家庭で導入可能な再生可能エネルギーについて、調べてみました。

○太陽光発電
一番普及している発電方法です。太陽光発電のメリットは他の発電方法と比較すると、導入費用が安く、実績があることだと思います。また、自治体によっては、補助金制度を活用することができます。デメリットは、発電量が天候(日照)に左右されることです。

○風力発電
太陽光発電と比べると、まだまだ一般的とは言えませんが、家庭用の風力発電機 もあります。太陽光発電とは異なり、風さえあれば、夜でも発電が可能です。稼働状況を表す設備利用率は、太陽光の2~3倍と言われています。デメリットは、太陽光発電と比較すると導入コストが割高な点と風切音です。

○水力発電
水力発電というと、ダムをイメージする方もいるかと思いますが、一般家庭用にも「マイクロ水力発電機」と呼ばれるものがあります。これは、小さい川や用水路にも設置が可能です。小さいものですと水の落差が2mもあれば発電できるようです。なかには落差65cmで発電可能というものもあります。

太陽光や風力と比較して設備利用率が、およそ60%と高い点が特徴的です。デメリットは、流れる水を利用する「水利権」の申請手続きが必要なことと、 発電機に溜まるごみの清掃など、メンテナンスのようです。しかし、マイクロ水力発電などの小規模発電の場合、法律改正により、水利権の手続きが大幅に簡素化されています。

再生可能エネルギーについて

原子力発電について賛否両論があるなか、安全でクリーンな発電方法として注目されているのが、再生可能エネルギーです。

現時点では、発電コストが高いのが欠点ですが、エネルギー自給率(2010年)が95%の中国、63%のアメリカに比べて、4%と低い日本にとって、環境面、エネルギー自給率の面からも普及が重要であると、再生可能エネルギーについて調べながら感じました。

参考WEBサイト

Text:sKenji