ホストクラブとは男性従業員が女性客の隣に座って接待をする飲食店。主役はあくまでもお客様である女性です。ホストは女性を良い気分にさせて喜ばせるのがお仕事です。「イケメン!色恋トーク!枕営業!自分の持つ武器を駆使して女性を満足させてみろ!」という成果主義の特殊な世界。そんなファンタジーワールドに迷い込んだ僕のホスト体験記を告白します。
1部営業と2部営業の間にある階級
ホストクラブにも階級社会のようなものがあります。自分が務めていたお店には1部営業と2部営業があり、1部は18時~24時までの夜営業。2部は朝5時~11時までの日の出営業になります。当然、夜営業の方にお客さんが入りやすいのでお店の売上も高いです。なので、店のエース級のホストはほとんど1部に回されます。
2部営業のスタッフは売れないホストか、強引に酒を飲まされて体を壊しながら売上に貢献させられる犬でした。そもそも、朝一番からホストクラブに来る女の人は強者です。夜の仕事を終えたキャバクラ嬢か、風俗嬢。そして暇を持て余したセレブ主婦。そして、その大半が同棲してホストを食わしている女性です。
1部と2部合同の誕生日パーティーはカオス
エース級のホストが誕生日を迎えると、誕生日パーティーと称したイベントが開催されます。ここで人を引っ張って一気に売上を倍増させる作戦らしいです。こういう日は「俺の誕生日だから来てよ!」という一声で大量の女の子が集まってくるんです。
1部と2部のホストが一堂に会したパーティー会場はまさにカオスでした。1部営業のホストは基本的に正統派!甘いルックスに加えて着ている服もフォーマルで決まっています。髪の毛もツンツンに逆立てて強力なスプレーで髪型をキープ、ヤンキー漫画でしか見たことないようなパイナップル頭が並んで異様です。
それに比べると2部営業のホストは完全に色物!禿げを帽子で隠した太った男が幹部クラス。ほとんどの男に金が無く、一張羅のジャケットの下にカジュアルなTシャツ。見た目がカッコいいわけでもなく、服装がイケてるわけでもなく、どこかファンキーな空気が漂います。
恐るべきカリスマホストの売上
そもそも誕生日パーティーとやらも1部で働くホスト限定の催し物らしく、2部営業のホストが主人公のパーティーを開いたことがありません。おそらく、2部のホストは人を呼ぶだけのカリスマ性が無いのが原因です。誕生日会を開いてもお客さんはいつものメンバーで変わり映えがしません。
花代とかイベントの飾り付けだけでも売上がマイナスになると判断されているのでしょう。豪華に飾り付けられた店内にお客さんが2~3人。これはこれで逆に面白いけど虚しい気持ちになります。誕生日会が行われている間、シャンパンコールは永遠に鳴りやむことはありません。次々と高い酒がテーブルに運び込まれ、「シュポン!シュポンッ!」と次々とコルクの抜ける音が聞こえます。
酒に飲まれた女性は金にも飲まれていきます。そして最終的なお会計の金額は天文学的な数値に!田舎の錆びれたホストクラブにも関わらず、一晩の売上は300万円以上にも達しました。お客さんはおそらく15人程度。そうなると1人頭20万円以上の酒代を払ったことになります。パーティーが終わると、1部のホスト達は一斉に売上を自慢します。
「おい、お前いくら飲ませた?俺は50万!」
みたいなやりとりが盛んに交わされていました。ホストはそれで満足ですが、可愛そうなのは大金を使わされた女の子達です。みんな青い顔をしてクレジットカードを切らされている感じでした。あれは果たして幸せだったのか?若さゆえのあやまちなのか…?それは本人に聞いてみなければ分かりません!