ホストクラブとは男性従業員が女性客の隣に座って接待をする飲食店。主役はあくまでもお客様である女性です。ホストは女性を良い気分にさせて喜ばせるのがお仕事です。「イケメン!色恋トーク!枕営業!自分の持つ武器を駆使して女性を満足させてみろ!」という成果主義の特殊な世界。そんなファンタジーワールドに迷い込んだ僕のホスト体験記を告白します。
キャバ嬢ゲットの指令を先輩から指南
いくら頑張っても全く指名客がつかない!どうにもならない!そんな状況が2ヶ月も続き、精神的にも肉体的にもグダグダになっていたとき、「キャバ嬢でも狙ってみれば?」というアドバイスを先輩から頂きました。考えてみればこの店の客はキャバクラ嬢か風俗嬢、そしてセレブ主婦。この3パターンしかありません。
キャバ嬢は夜の商売で大金を稼ぎ、明け方から始まるホストクラブでパーッと金を使ってウサを晴らす。さらに母性本能に突き動かされたキャバ嬢は売れないホストの面倒をみる。そして最後は同棲生活に辿りつき、半生を共にする。そんな形でキャバ嬢をゲットした先輩ホストは確かにいます。
何も考えずに近隣のキャバクラを探索
「いっちょやってみるか!」という決意を持って近隣のキャバクラを探索することに…。真夜中に光るネオンに導かれて歩いていくと、ボーイと思われる黒服の男が近寄ってきて「1時間5000円!どうですか?」と声をかけてきます。
3歩進むたびに「どうですか?」「どうですか?」と声をかけられ、気がつけば10人以上の黒服に囲まれて風俗街にどんどん追い込まれていきます。こっちもキャバクラを探しているので好都合ですが、どの店を選んでいいのか分かりません。「キャバ嬢とのアフターOK?」と聞きまくると、「それはお客さんの腕しだいです!」と言ってくれたボーイのキャバクラに入店しました。
キャバに特攻して奇跡のアフターに成功
店に入ると、『アイ』さんという26歳の大人の色気を持つキャバ嬢がテーブルに着きました。楽しまなきゃ損なのですが、こっちも仕事で来てるので相手の心を掴もうと必死です。とにかく「かわいいね!かわいいね!」を連呼し、「話が合うわ~!」とか「これなら10万でも安い!」とか持ち上げまくっていい気分にさせ、3時間口説きまくってアフターに成功!
「俺、いい店知ってるから!」とか何とか適当なことを言って自分の店に連れ込もうとしました。しかし、店の前に来るとアイさんはメチャクチャ不審そうな顔をして足を止めました。(ヤバイ…ここがホストクラブだってことがバレてる…)そのとき、店の前を偶然通りかかった女性にアイさんが声をかけます。
アイ「あっ、ユイちゃん!」
ユイ「あれ、アイちゃん?どうしたの?」
2人の話の感じでは、どうも同じキャバクラ店で働く同僚の様子です。
アイ「一緒に飲もうよ!」
ユイ「うん、いいよ~」
最後の最後で断られるかと思いきや、なんとキャバ嬢2人を同時にゲットする奇跡の大逆転劇に成功です!
キャバ嬢2人をダブル指名する暴挙で失敗
僕は客を装って入店し、堂々とソファーに腰を降ろすと美女2人を左右につけて酒を頼みます。
ハチ「イナバさん、凄いじゃないですか~」
ユウヤ「見直しましたよ、イナバさん!」
万年ヘルプから脱することは不可能だと思われた駄目ホストに、同期から尊敬の眼差しを向けられます。僕は調子に乗ってテンパってしまい、「2人とも本指名でお願いします!」とか訳の分からないことを口走ってキャバ嬢2人を独り占めにしてハーレム状態に持ち込みました。
ハチ「2人とも指名?テンション落ちるわ~」
ユウヤ「1人はフリーにしてくださいよ!」
僕「あ、そっか…2人指名とか無理だった…」
ホスト界では2人の指名客をバッティングさせるのは禁じ手です。そもそもアフターの誘いをOKしてくれたアイさんを優先的に接客しなければ相手に対しても失礼です。自分の成績を上げるために必死になりすぎて、頭がおかしくなっていました。
僕「アイさんは指名、ユイさんはフリーで!」
と注文し直して接客開始!この時点で自分がホストだってことは完全にバレてると思いますが、アイさんに気に入ってもらえれば関係ありません。ここで仲良くなってしまえば常連客となり、ゆくゆくは同棲生活も夢じゃない!?訳の分からない妄想が膨らんで、飲めない酒をガンガンあおります。
ヒロヤ「おい、イナバ!こんなに飲んでちゃんと払えるのか?」
僕「え…?いや~大丈夫ですよ!」
先輩の注意を受け流して飲んだくれた末のお会計は3万5千円…。
キャバ代と合わせると1晩で6万8千円の金が吹っ飛びました。
先行投資…先行投資…
その確固たる哲学は…徐々に崩壊していくのでした。。。