昨年のゴールデンウイークに陸前高田を訪れた時の印象は今でもはっきり覚えている。それまでは、甚大な被害を受けた被災地を訪れたことはなかった。
一年前、GW休みという限られた時間の中、強行日程で東北を車で回っていた。陸前高田には、まだ夜が明けきらない暗いうちに着いた。
テレビや写真でしか見たことがなかった被災地がどのような状況になっているのか見えないことが不安だった。ナビでは町を示しているのだが、明かりは全くない。誰もいない静まり返った暗闇の中に独りでいることに、得体のしれない孤独と怖さを感じた。
しだいに明るくなり始め、まわりの状況が徐々に把握できるようになってきた。そこは、ほとんど何もない野原で、一部に被災物したものが山のように積まれていた。初めて見る光景だった。
あれから一年。
少しは建物ができ、復旧も進んでいるかと思って来てみたが、被災物が撤去され、一部の山を造成している以外は、ほとんど変わっていなかった。
陸前高田
Text & Photo:sKenji