「もったいない。なぜ、ここに来ないのか。」
奥松島の宮戸島を訪れた際に一番感じたことだ。
宮城県東松島市の宮戸島は、日本三景の一つ、松島から車で30分程の距離にある島だ。島と行っても、橋が架かっているので車で簡単に行ける。
この島には、奥松島縄文村歴史資料館を取材するために訪れた。
しかし、宮戸島の一番見どころは、この島の風景、島から見える松島の光景だと思った。
島全部を隈なく見て回ったわけではない。宮戸島に架かる唯一の橋から、資料館までのわずか2km程度を車で見ただけだった。たったそれだけの短い距離で、この島の魅力に引き込まれた。橋を渡ると、すぐに「ここ、いいかもしれない!」と直感的に感じた。
宮戸島の景色は、なぜだかわからないがとても心が安らぐものだった。松島らしい典型的なリアス式海岸の光景。ゆっくり車で走っていると、次から次へと複雑に入り組んだ海岸が現れる。
とても日本らしい景色なのだが、でも日本とは思えないような不思議な場所。訪れる人もほとんどおらず、ここだけ時間がゆっくりと流れているかのような場所だった。
静けさも魅力を感じた理由の一つなのかもしれない。けれども、全国的に有名で多くの観光客が押し寄せる松島から、これほど近くにある場所なのに、訪れる人が少ないことが、とてももったいなくも感じた。
恐らく、知名度の差なのだろうか。私も、実を言うと取材でこの島に来るまで宮戸島の存在を知らなかった。
島にある、大高森に登ってみたのだが、ここから見る松島の島々は日本三景に相応しい素晴らしい景色だった。
また、この島に来よう。次、訪れる際は、ゆっくり、じっくり見て回ろうと思わせる、そんな素敵な場所だった。
宮戸島
Text & Photo:sKenji