アルガルベ杯でベールを脱いだ新生なでしこジャパン。2年後のカナダワールドカップ、3年後のブラジル五輪に向けて、若手に経験を積ませるという佐々木監督の狙いが話題を呼びました。澤、宮間らのベテラン組を外し、U-20代表から田中陽子、田中美南など初代表組を多く選出した新生なでしこ。今大会で注目の選手のプレースタイルに迫ります!
【中島 依美】なかじま・えみ
生年月日:1990年9月27日(22歳)
出身地:滋賀県
身長 体重:158cm 51kg
在籍チーム:INAC神戸レオネッサ
ポジション:FW、MF
背番号:19
プレースキックの精度は宮間にも匹敵する
中島依美の長所はキック精度の高さにあります。左右両足でプレースキックを蹴り分ける能力を持ち、速くて曲がるドライブ回転のかかったキックを得意とします。両足使いのプレースキッカーは宮間あやが代表的な存在ですが、中島の特筆すべき特徴はボールスピードの速さです。
特にコーナーキックのボールは速くて鋭く、ノルウェーやデンマーク代表の170cmを超える大型DFでも簡単に触れないスピード感がありました。パスワークのなかで出されるショートパスやロングパスはキックミスが少なく、正確に味方の足元に合わせる技術の高さを誇ります。
スピード溢れるドリブルで突破力にも優れる
パスワークの巧みさだけでなく、縦に速い突破も魅力の1つです。右サイドから中央にカットインするドリブルは鋭く、一瞬の切り返しでDFを置き去りにすると左右両足で高精度のミドルシュートを放ちます。オフザボールの動き出しも抜群で、サイドハーフでありながら右サイドから中央、中央から左へとポジションを移してラストパスを引き出します。
デンマーク戦では右サイドから中央に流れてボールを受けると、ドリブルスピードを一気に上げてバイタルエリアに侵入。一瞬のスピードでDF2人を置き去りにすると、カバーリングに入った3人目のDFと競り合いながらミドルシュートに持ち込んだプレーは圧巻でした。
キープ力抜群の司令塔、豊富な運動量で守備力も高い
トラップ、パス、シュートなど基本技術が高く、簡単にボールを失わないキープ力を持ちます。ビルドアップ能力が高く、ワンタッチでリズムよくパスを配球してゲームを組み立てます。ロングパスでサイドを一変するなど、中盤をペースチェンジする力を身に付ければ非常に恐い司令塔に成長すると思われます。
無尽蔵とも思えるスタミナで前線から積極的にプレッシングをかける選手です。ときには最終ラインまで戻って守備に参加する献身的なプレーも持ち味です。パスワークの正確性、守備での貢献度を考えればボランチでの起用でも威力を発揮すると思います。
総括
中島依美はアルガルベ杯で最大の発見と言える選手の1人です。将来的には宮間や川澄など、攻撃的な中盤のキープレーヤーに成り得る素材だと思います。両足パスの正確性、クロス精度の高さ、守備力の高さを考えればボランチやサイドバックでの起用も視野に入れて欲しい選手です。今後の活躍に期待します!