【なでしこジャパン】 日本VSデンマーク・・・2-0の快勝で新戦力の発掘に成功! 《アルガルベ杯》

2013年3月6日より、アルガルベ杯がポルトガルで開催されています。女子サッカーの国際大会としては、オリンピック、ワールドカップに次ぐ格付けを誇るアルガルベ杯。今回は予選Aグループ第3戦、日本VSデンマークの対戦レポートをお届けします!

繋ぎのパスサッカーを選択したデンマークの誤算

フォーメーションは3試合続けて4-4-2を採用した日本代表。DFは左から鮫島、熊谷、岩清水、加戸。MFはボランチに田中明日菜、宇津木、サイドハーフは左に川澄、右に中島、フォワードは大儀見と永里の姉妹2トップに注目が集まりました。対するデンマークは3-6-1システムを採用。中盤でボールを細かく繋ぎながらサイドアタックを仕掛け、中央にパワーのあるターゲットマンにクロスを合わせるシンプルなパスサッカーを選択してきました。

ボディコンタクトの強いデンマークがパスサッカーを選択してくるのは日本にとっては嬉しい誤算でした。キープ力に優れるデンマークは1対1に強さを発揮しますが、パスワークでディフェンスを打開するにはスピード不足です。大儀見、永里のチェイシングから始まる日本のプレスディフェンスの網にかかり、中盤でことごとくパスコースを潰されていました。

日本の2得点は宇津木瑠美が起点となる

ゲーム序盤から飛ばしてきたデンマークも前半途中から失速。徐々に日本にポゼッションをリードされると前半17分、左サイドから敵陣に切れ込んだ川澄がファーサイドに鋭いクロスを送ります。このボールがGKの頭を超えてサイドネットに突き刺さり、日本はラッキーな先制ゴールを奪います。前半41分、宇津木の左足から放たれたロングスルーパスはDFの裏に抜け出した大儀見の足元にピタリ。そのままドリブルで独走した大儀見は華麗なフェイントでGKをかわすと冷静にゴールに流し込んで2点目をゲット!

2得点ともにボランチの宇津木のパスが起点となったゴールでした。これまでの宇津木瑠美のプレースタイルは中盤の潰し屋というイメージがありました。しかし、今大会は中盤の底から左右にパスを散らし、ロングボールでディフェンスの裏を突く正確なフィードを連発。パサーとしての才能を開花させたのではないでしょうか。

2-0の快勝も攻撃のバリエーションに不満

決定的なシーンも作られず、2-0の快勝を遂げたなでしこジャパン。しかし、後半から完全に足が止まったデンマークを相手に2点止まりは少し寂しい結果です。攻撃面では特にサイドからの展開が少ないと思いました。この試合、鮫島と加戸の両サイドバックが何度もオーバーラップを見せたものの、この2人がクロスボールを上げるシーンは僅かでした。

澤、宮間、阪口らの主力選手が不在のなか、中盤でゲームをコントロールできるプレーメーカーがいない影響が出たと思います。宇津木が新ゲームメーカーに名乗りを挙げたのは喜ばしいことですが、ボランチでコンビを組む田中明日菜がパサーとして機能しなかった点が残念です。今回選出されなかったMF上尾野辺めぐみ、猶本光らの台頭が望まれます。

中島、加戸ら新戦力の発掘に成功

この試合、右サイドハーフで先発した中島依美のポテンシャルの高さには驚かされました。左右両足から繰り出される正確なプレースキック。縦にドリブルで抜け出すスピード、中央にカットインしてからのスルーパス、ミドルシュート、巧みなトラップと意表を突くダイレクトパス。多彩な攻撃パターンで実力の高さを見せつけました。

右サイドバックとして先発した加戸由佳は、近賀ゆかりの穴を埋めるバックアッパーの可能性を見せました。1対1のマーキング能力に長け、フィジカルの強いデンマークのMFと対峙しても当たり負けすることない粘り強い守備で右サイドを完封しました。攻撃では豊富な運動量で右サイドを何度もオーバーラップ。今後、クロスの正確性を高めれば面白い存在になりそうです。