丸かじりもできる!オールラウンドプレーヤー
「東京愛らんどフェア2013」の八丈島ブースにて。
菊池レモンが入った段ボールがどかっと置かれていました。
新宿駅西口にて行われた伊豆・小笠原諸島の物産展「東京愛らんどフェア2013」にて、気になるものを発見しました。どどんとでかい、黄色の物体。「かんきつ類の何か?」までは想像できるでしょう。なんと、これはレモンだそうです。八丈島産の「菊池レモン」と言います。
レモンと言えば、卵のような形状で先がつんと尖がっているイメージを想像しそうですが、こちらのはぷりっと丸みを帯びています。大きさも、一般にイメージしているレモンより少し大ぶり。しげしげ見ていると、八丈島のスタッフさんにすすめられました。 「どうぞ食べてみてください。けっこうイケますよ!」
扇形にスライスされたレモンを頂くと、紛うことなきレモンの味です!ただ、市販のレモン(卵型)が、「すっぱくて濃厚な果汁がジュワッと染み渡る」イメージなら、こちらは「ぷりっとした肉厚レモンからあっさりした爽やかな果汁がハジケる」ようなイメージでしょうか。 「皮に苦味が無く、丸かじりもできるんですよ~」
とのこと。紅茶やデザートはもちろん、果肉のままサラダにも使えそうでしたし、凝った島民の奥さんは、タルタルソースに混ぜたり、煮物などの和食にアクセントとして使ったりするそう。どうやら、オールラウンドプレーヤーのようです。面白いじゃないですか!
黄色が鮮やかな完熟の菊地レモン。野球のボールより、ふたまわりほど大きい印象です。
八丈島にレモン革命をもたらした菊池さん
菊池レモンは、1940年(昭和15年)に、八丈島出身の菊池雄二さんが、ミクロネシアのテニヤン島という島から、たった1本、苗を持ち帰ったことが始まりだそうです。当時の船で2000km近い距離の航海ですから、かなりの長旅だったのではないでしょうか。また、この当時と言えば、歴史的には第2次世界大戦が勃発した頃ですので、少しタイミングがずれれば、そんな余裕はなかったかもしれません。 しかし、無事に島へたどり着いた1本の苗は、八丈島の土壌が合っていたようで、菊池家の農園から島内の農家へと広がっていきました。お察しのとおり、菊池さんの名前から「菊池レモン」と名付けられ、島民からも親しまれていたようです。(まれに、「八丈レモン」「サイパンレモン」「テニヤンレモン」などとも呼ばれる)
その後しばらくは島内の消費に止まっていた菊池レモン。しかし近年に入り、その個性的な美味しさが再び話題を呼んでいる印象です。こだわり派の飲食店オーナーや、食品メーカーなどが注目しているとも聞きました。島としてもブランディングを図っているようで、島のレモン生産部会は、最近になって新たに1000本近い苗を育て始めたのだとか。「東京愛らんどフェア2013」では「デビュー」「初登場」と書いてあり、その気合が伺えました!
さて、この菊池レモンですが、1個500円と決して安価で無いにもかかわらず、後ほど覗いたときにはあっさりと売り切れてしまっていました。やはりクセなく食べられる皮が、訪れた奥様がたのハートを掴んだのでしょうか。スーパーなどでは輸入レモンが一般的ですので、「国産」というインパクトもあったかも知れません。
とにもかくにも、1本の苗から始まった菊池レモン。70年以上の熟成期間を経た今、満を持して「デビュー」しました!今後の飛躍に要注目です!
「デビュー」「初登場」と書かれた菊池レモン。
ここでは八丈レモンと呼ばれています。
こぼれ話 「親子二代でレモン文化を導入」
小笠原諸島では、緑色の果実を食べる「島レモン」が有名ですね。実はこれも正式名称は「菊池レモン」。見た目や大きさから別物のようにも思えますが、小笠原では緑色の時点で収穫するのに対し、八丈島では完熟を待って収穫するようです。
この背景には、菊池さんの娘である沖山ルリ子さんが、戦後、小笠原諸島に持ちこんだというエピソードがあるそうです。小笠原では島レモンジャムや、島レモンクッキーといった加工品まで見かけます。これらもみんな「菊池レモン」とのこと! つまり、二代にわたり、八丈島、小笠原とレモン文化を持ちこんだ親子、それが菊池親子ということです。いやーすごいですね!