2012年11月1日から18日までタイ王国でFIFAフットサルワールドカップが開催されています。全世界から24ヵ国のナショナルチームが参加し、優勝に向けて熾烈な争いを繰り広げています。日本はJリーグから三浦知良を召集し、ペルーから森岡薫を帰化させて大幅に戦力を強化しました。今回はフットサル日本代表として活躍する森岡薫選手のプレーの魅力に迫ります!
【森岡薫】 もりおか・かおる
国籍:日本 生年月日:1979年4月7日(33歳)
出身地:ペルー身長:175cm
体重:77kg
在籍チーム:名古屋オーシャンズ ポジション:ピヴォ
背番号:9
ペルー出身という異色の経歴を持つストライカー
森岡薫は日系2世の父とペルー人の母を持つ日系3世です。12歳の頃に父の仕事の都合で来日し、21歳のときに雑誌で個人フットサル参加の広告を見てフットサルを始めます。その後、関東リーグを経て名古屋オーシャンズの初期メンバーとして加入。その活躍が認められて南米選手権でペルー代表に選出されますが、日本代表に対する熱い想い入れから国際Aマッチに出場することなく練習参加のみで帰国します。
2012年8月2日付で日本に帰化し、10月には念願が叶ってフットサル日本代表に選出されます。2012年FIFAフットサルワールドカップではジョーカーとしての役割を期待され、予選リーグのポルトガル戦では代表初得点を記録するなど日本の攻撃の核となりました。
前を向いてからの突破力はワールドクラスの実力を持つ
森岡のストロングポイントは前を向いてボールを持ったときのプレーです。縦40mという狭いフットサルコートを縦横無尽にドリブルで切り裂いていく姿は、他の日本選手にはマネできない凄まじい破壊力を持ちます。右サイドでは相手を背負いながら力強くボールをキープし、鋭いターンから爆発的なスピードでDFを置き去りにすると、ほとんど角度のないエリアからでも右足で強引にシュートを決めてしまいます。左サイドではキックフェイントを交えながら細かくボールを持ちかえて、縦に抜けると見せかけて中央にカットインし、一瞬の隙を見逃さずにミドルレンジから得意の右足でキャノンシュートを放ちます。
突破力が自慢だが本来のポジションはピヴォ
サイドからのドリブル突破を武器とする森岡ですが、本来のポジションはピヴォと呼ばれるトップの位置です。フィジカルコンタクトが非常に強く、相手DFに囲まれても優れたキープ力を発揮します。『ピヴォ当て』と呼ばれるサッカーでいうポストプレーを得意とし、少々体をぶつけられてもボディバランスを崩すことなく確実にボールを処理して中盤に落とします。ペナルティエリア内のプレーもアイデアが豊富で、ゴールマウスの鼻先でシュートコースを変えるなど、一瞬のインスピレーションで得点を奪えるゴールハンターです。
ワールドカップではチーム最多の4得点
決勝トーナメント1回戦でウクライナと対戦し、3-6の大敗を喫してベスト16という成績にとどまった日本代表ですが、負け試合でも1人で気を吐いたのが森岡薫でした。0-6という劣勢のなかでも諦めることなく果敢に個人技で突破を仕掛け、2得点を奪う活躍を見せました。日本の決勝トーナメント進出に大きく前進したポルトガル戦でも値千金の2ゴールをゲット!チームを5-5の同点に導いたことで鮮烈な印象を残しました。相手が強ければ強いほど力を発揮する上位キラーであることをワールドカップで証明したと言えます。
総括
金髪に彫りの深い顔立ちが印象的な森岡薫。ペルー出身の選手らしく柔らかいボールタッチを駆使した南米スタイルのドリブル突破でフットサルファンを魅了しました。4年後は37歳という年齢になりますが、次のワールドカップでもう一花咲かせて欲しい選手の1人です。