【フットサルW杯】日本VSウクライナ・・・あまりにも遠すぎた世界制覇への道のり

キングカズこと三浦知良選手がフットサル日本代表に選出されたことが話題になっています。2012年11月1日から18日までタイ王国でFIFAフットサルワールドカップが開催されています。全世界から24ヵ国のナショナルチームが参加し、1組4チームの6組に分かれて予選グループリーグを戦い、各組上位2チームと3位の成績上位4チームが決勝トーナメント進出します。今回は決勝トーナメントの第一戦、日本VSウクライナの対戦レポートをお届けします!

疲労困憊の日本に戦う力は残されていなかった!

逸見勝利を出場停止で欠き、高橋健介も怪我で出場できない状況で、日本は強豪のウクライナと対戦しなければなりませんでした。特にここまで攻守のキーマンとして機能していた逸見を欠いてしまったことに問題があったと思います。立ち上がり、日本は積極的に前からプレスをかけてボールを獲りにいきますが、フィクソの北原を中心とした守備のマークがおろそかになります。前半3分には中盤のイージーミスをパスカットされると、チェポルニュクに左足でトゥーキックシュートを決められて先制点を奪われます。続く前半5分、左サイドで森岡がフェドルチェンコが振り切られると振り向きざまに強烈なミドルシュートを決められて早くも2点差。

日本は連戦の疲れからか1人1人の動きが重く、全体の運動量が少ないせいでスペースのマークが甘く、1対1のディフェンスも軽いためにドリブルでもパスワークでもウクライナのオフェンス陣にいいように振り回されてしまいます。コンディションの悪い日本は1対1で当たり負けする場面が多く、接触プレーでコロコロと倒れてしまう選手が続出します。前半13分と14分にも相次いで失点を許してしまった日本は完全に浮足立ってペースを失います。前半15分、稲葉洸太郎が背後から危険なファールを犯して一発レッドで退場を食らい、フィールドプレーヤーを8人で回すことになってしまった日本は増々窮地に追い込まれます。

前半だけで6失点!ディフェンス面の戦術に問題はなかったのか?

稲葉が退場したことで数的優位を作ったウクライナは攻撃の手を緩めず、前半16分にも立て続けに2点を決めて6-0と大差をつけて前半を折り返します。予選グループリーグでもブラジルに4失点、ポルトガルに5失点を食らった日本のディフェンスに戦術上の問題はなかったのでしょうか。日本は前半に大量失点を食らい、後半に攻撃の人数を増やしたパワープレーで得点差を縮めるという展開が定番でした。強豪国を相手にした場合、4対4でまともに戦っては歯が立たず、ゴレイロ(GK)に代えて攻撃の選手を入れることで初めて互角に渡り合えたことが分かります。日本はディフェンスが極端に弱く、オフェンスに力を発揮する選手が多いことが特徴です。リスクを冒してでも始めからパワープレーを選択しなければ、勝機を得ることは難しいチームだと断言できます。

パワープレーで3点を返すも時既に遅し!

後半1分、ゴレイロの川原を下げて小曽戸を投入し、パワープレーに戦術を移したことで日本はリズムを取り戻します。フィールドで数的優位を作れたことで初めてパスが回りだし、ゴール前でシュートチャンスが生まれます。後半10分、小暮が最後尾から強烈なミドルシュートを放つと、森岡がゴールの鼻先でコースを変えて1点を返します。更に後半11分、右サイドでDFを背負った森岡が鋭いターンから高速ドリブルで相手を振り切ると、角度のない場所からニアサイドにミドルシュートをぶち抜いて2点目を奪います。

12分にもパワープレーから右サイドの村上、小曽戸とパスを繋ぎ、逆サイドでフリーになった北原が冷静にシュートを押し込んで3点目をゲット!6-3と3点差まで詰め寄りますが、日本の反撃はウクライナの想定内だったように映ります。日本が後半からパワープレーで押し込んでくることは完全に読まれていました。 6点をリードしたウクライナは後半から自陣に引いて守りを固めていました。日本に6点差をひっくり返す力が無いと分かっていたからでしょう。

ゴールを決められても慌てることもなく淡々と中盤でパスを繋ぎ、確実に時間を減らしていくウクライナの術中に日本のオフェンスは沈黙しました。後半15分を過ぎると日本の運動量は明らかに下がります。8人でフィールドを回してきたツケが回ってきたように見えました。流れを変えるために前線に三浦知良を投入するも、パワープレーに慣れていないカズに連携を期待するのは酷だったように思えます。このまま試合終了となり、初の決勝トーナメント進出を果たした日本の成績はベスト16に終わりました。

総括

死のグループと呼ばれたC組を1勝1分1敗という成績で予選突破した日本の功績は素晴らしいと思います。ブラジル戦を1-4の最少失点で凌ぎ、ポルトガルに対しては3点差から同点に追いつき、リビアから確実に勝利を挙げた戦いは素直に「凄い!」と評価できます。

しかし、強豪国との力の差は想像以上のものでした。結果論になりますが、早い段階でパワープレーをしかけるなど、リスクを冒した戦術を選択する必要があったと思います。Jリーグから三浦知良を召集し、大会前から注目を集めたフットサル日本代表。初のベスト16への進出も果たし、4年後のワールドカップに向けて日本は大きく前進したと思います。

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