少しずつ「兆し」は見えるのもの
女川漁港・市場前のかさ上げが終わった岸壁で、サンマの積み下ろしが行われていた。しかし、接岸できる船は1~2隻。悪天候時の避難施設も不足。震災前のキャパシティにはまだ遠く及ばない。
かさ上げが完了した岩壁。海面近くの古びている部分がかつての岩壁。そうとうな高さのかさ上げが行われたと分かる。しかし、同じ岩壁を角度を変えて見てみると・・・
かさ上げが完了していない部分が広がっている。だから、高潮や低気圧通過時には、浸水を防ぐための土嚢の敷設が不可欠になる。
この日も大雨洪水暴風警報が発令される中、土嚢の敷設が行われていた。
2012年10月23日の女川漁港
こんな状態だと、危険過ぎて海の仕事はままならいのではないだろうか。
7カ月ぶりに訪れた女川は建物の基礎部分の撤去が進み、更地が広がる。
目印がなくなって、地元の人でも道に迷いそうになるという。しかし、この土地にそのまま建物が再建されるというわけではない。
見上げるような櫓の上に書かれたものに驚いた。国道計画高さの文字左下の▼のところまで、国道を盛り上げるという計画だ。
町の人に聞くと、防潮堤を兼ねる道路になるのだとか。
ダンプカーの大きさと比べるとその高さが分かるだろう。しかし、18メートルとも20メートルとも言われる女川を襲った津波の高さには、はるかに及ばない。
●TEXT+PHOTO:井上良太(株式会社ジェーピーツーワン)