【リトルなでしこ・選手名鑑】 伊藤美紀・・・攻守のパイプ役に徹する攻撃的MF

ロンドンオリンピックで銀メダルに輝いた『なでしこジャパン』。U-20女子ワールドカップで銅メダルを獲得した『ヤングなでしこ』。女子サッカー界が大きな注目を集めている今、更に一つ下の世代に『リトルなでしこ』と呼ばれる17歳以下の日本代表の存在があります。今回はU-17女子ワールドカップで活躍した攻撃的ミッドフィルダーの伊藤美紀選手のプレーの魅力に迫ります。

【伊藤 美紀】 いとう・みき

国籍:日本
生年月日:1995年9月10日
身長:151cm
体重46kg
在籍チーム:常盤木学園高等学校
ポジション:MF

サイドアタッカーでありながらボランチのような選手

U-17W杯では4試合中2試合に出場し、主に右サイドハーフとして起用された伊藤美紀。サイドハーフでありながら縦に思い切った突破を見せるシーンは少なく、どちからかと言えば中盤の繋ぎ役として周囲を生かす黒子役という印象を抱きます。特に右サイドバックの石井咲希のオーバーラップを生かす為に、自分は中央に絞ってサイドスペースに石井を飛び込ませる意図が見られました。

また、中央に構えるトップ下の杉田妃和やボランチの隅田凛との絡みでも、積極的にペナルティボックスに飛び出して行くよりはゴール前で味方のワンツーの壁になったり、サイドに開いてDFのおとりになるプレーが目立ちました。ワンタッチ、ツータッチでテンポよくボールをさばき、フリーの選手を素早く見つけてパス&ランを繰り返し、まるでボランチのような動き出しで中盤の潤滑油となりました。

高いキック精度でチャンスを作る右サイドのクロッサー

チーム全体の動きを見ながら繋ぎ役に徹する伊藤美紀ですが、チャンスと見ればバイタルエリアに飛び出して行くプレーも持ち味です。ファーストタッチで相手DFと身体を入れ替えると、そのままトップスピードでゴールに迫るドリブルを武器とします。パスセンスに優れたプレーヤーで、縦に突破すると見せかけて逆サイドにサイドチェンジを入れるなど、意外性のあるパスで攻撃のリズムに変化を与えます。

ポジショニングにも優れており、サイドラインでフリーになることが上手い選手です。右足から繰り出されるクロスボールの精度は高く、ファーポストにふわりと上げるロングパス、中央に送るライナー性の高速クロス、ニアサイドに鋭く合わせるグランダークロスなど、多彩なキックでアシストを決める右利きのクロッサーです。

総括

筆者の個人的な感想になりますが、伊藤美紀はサイドハーフではなくボランチで生きる選手だと思います。正確なトラップと精度の高いキック、広い視野を生かしたテンポの速いパス回しは魅力です。豊富な運動量で相手に激しいプレッシャーを与える粘り強いマークも得意とし、守備への貢献度も高い選手です。将来的にはサイドバックやボランチなど、ディフェンシブなポジションへのコンバートにもチャレンジするべきだと思います。

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