ジョックロック
日本独自の文化とも言えるかも知れません。白球を追った一投一打に沸く、野球場の熱気をさらに加速させる応援歌の存在です。「血沸き肉躍る」なんて言葉がありますが、選手を鼓舞することはもちろん、応援している関係者、ファンまでもを時に身震いさせてしまいます。 甲子園の常連、和歌山県・智弁和歌山高校は全国的知名度を誇る高校野球界の名門。ですが、和歌山県内では東大や早慶などに合格者を多数輩出する「県内屈指の進学校」というイメージの方が大きいかも知れません。
非常にストイックな校風で、基本的には小学校からの12年、もしくは中学校からの6年一貫教育。高校受験にて編入することも可能ですが、智弁中学・和歌山高校は一般的な教育課程より1年進んだカリキュラムが設けられているため、外部編入生は高校1年時に2年分の教育が詰め込まれ、2年時から内部進学生に合流するそうです。こういった取り組みを見ても、かなりレベルの高い教育環境であると想像出来るでしょう。 それでは野球部は一体何なのかと申しますと、智弁和歌山高校には1学年10名、3学年全員で30名しか在籍しないスポーツコースというカリキュラムが存在します。これは
「野球に対して高い技能と情熱を有する生徒が、さらに高度なレベルアップを図り、甲子園を目指すために設定されたコース。」(学校HPより引用)
つまり、30名全員が野球部員。目的ははっきり甲子園と明示され、実際に高い実力とゆるぎない実績を誇っています。智弁和歌山高校にはほかに運動部がありません。勉強・野球のスペシャリストがそれぞれの業を磨くことに精を出しているのです。 しかし、県外出身者・・・いわゆる野球留学生が多いのかと言えばそうでもなく、全員が自宅から通える距離に住んでいる地元の選手なのです。(県外出身者は各学年2名までと決められており、やはり自宅から通学できる範囲に住む。)そのため、寮を持つ学校と比べると集う選手は限られますが、厳しい練習を通じて実力を養うのです。
さて、明確な目標とそれに特化した鍛錬で甲子園の常連校となった智弁和歌山高校ですが、その応援もまた個性的。吹奏楽部顧問の吉本教諭が「声が出しやすい」と25年ほど前に始めた楽曲は、「タッチ」や「ルパン三世」「狙いうち」などの定番曲と比べると全く馴染みのないものでした。それでも智弁和歌山高校が甲子園の常連校と育つにつれて、吹奏楽部の威圧感抜群の応援楽曲もまた、知名度を上げてきたのです。 今では超有名となった楽曲として「アフリカン・シンフォニー」「エルクンチェロ」が挙がりますが、中でも終盤の大詰め時やチャンス時に多く演奏され、高校野球ファンからは『魔曲』と呼ばれる起爆剤・・・、それが「ジョックロック」です。
智弁和歌山高校の大逆転や大量得点時、そこでは常に「ジョックロック」が演奏されていました・・・。
(YouTube)
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◇智弁和歌山高校「ジョックロック」◇ あまり知られていないが、本来智弁学園高校の応援スタイルは選手ごとに楽曲を使い分けるものではなく、1回は「アフリカン・シンフォニー」、2回は「LALALA」・・・と、イニングごとに別の楽曲を演奏する独自のスタイル。ただし、智弁和歌山高校のチャンス時や終盤の劣性時など、ここ一番になると「ジョックロック」に変更される。話題に上ることは少ないが、チアリーダーの動きも非常に激しく、あまり攻撃が続くと相手のみならず応援団も苦しいとか。先の吉本教諭が使用を始めた曲であるが、原曲の作曲者は不明と謎が多い。そのため、智弁和歌山高校の代名詞的な存在となっている。
◇参考ページ◇
(公式HP)