ちゃんぷるー
この言葉を聞いて、おそらく「あぁ、沖縄の料理ね・・・」と思い浮かべる方がたくさんいると思います。その通りです。間違いではないのですが、では、元々の意味はご存知でしょうか。
「知ってるよー、『混ぜる』って意味でしょ?」
ここまで答えられる方も多いのではないでしょうか。しかしこの言葉、実は沖縄以外でも見受けられます。 一番身近だとすれば、長崎の「ちゃんぽん」が有名です。ただ、これも料理が有名ですが、同じく『混ぜる』という意味を含みます。お酒を「ちゃんぽん」したら悪酔いする・・・なんて言いますよね。長崎だけではありません。インドネシア・マレー半島あたりの島々では campur という言葉があります。読み方は チャンプール 。そしてやはり、インドネシアには「ナシチャンプル」という料理(ごはんと数種類のおかずを混ぜたもの)が存在します。厳密にどこが発祥なのかはわかっていません。
しかし、これらは基本的に島、もしくは海に面した地域の言葉ということに注目!!島や港町には、通常それぞれに小規模な集落があるためか、どうしても閉鎖的な空間で文化が形成されているように思われがちです。けれども、実は優れた外来文化にとても寛容な土壌があるのです。 (一方で、県外からの移住者、いわゆる新島民は通説として馴染むのに苦労するとも言われます。どれだけ優れていても、やはり部外者には謙虚さも必要でしょう。)
沖縄と言えば、かつての琉球王朝に東南アジア、アメリカ、日本、中国の文化を直に触れていた歴史を持ちます。
漆器 (日本と中国の貿易の中継点から流入した文化)泡盛 (元々はタイ王国から)
などにもその様子がうかがえます。外来文化をしれっと取り込み、沖縄色に染めてしまう。やはり食べ物がわかりやすく、
タコライス (メキシコ料理「タコス」由来)
シーチキン (日本でシーチキンが広まる前から、沖縄では、アメリカ産のツナ缶が出回っていた。 ソーミンチャンプルーなどに生かされている。)
昆布 (日本と中国の貿易の中継点から流入した文化)
などなど。今では、どれもしれっと沖縄の代名詞的な存在となり、強烈な個性を醸し出しています。しかし、どれも「沖縄生まれ」というより、「沖縄で加工されたもの」という表現の方がぴんと来るかもしれません。
近頃では、メイド萌えとカフェを組み合わせた「メイドカフェ」や、レンタルビデオ店と宅配を組み合わせた「ネットレンタル」など、既存の2つの需要を足すことで新たなアイデンティティを持つビジネスが成功を収めています。巷ではそれらのビジネスに倣った、ビジネスマン向けの「発想法講座」なんていうものも見かけます。「既存のものに手を加えて新しい何かを生み出す」、今でこそ概念として確立しつつありますが、沖縄・ちゃんぷるー文化は、それを天然でやっていたんですね。
沖縄を訪れる際、そういった部分に注目するのも面白いかもしれません。