むかしむかし、あるところに、お爺さんとお婆さんが住んでいました。 二人は子どもがいなかったので、シロという犬をとても可愛がっていました。
ある日、シロが畑でほえました。
シロ「ここほれワンワン、ここほれワンワン」お爺さん「おや? ここをほれと言っているのか。よしよし、ほってやろう」
お爺さんがほってみると、
お爺さん「おや・・・?」
何も出てきません。 シロ「ここほれワンワン、ここほれワンワン」
お爺さんが急いでほってみると
お爺さん「ん・・・?」
また何も出てきません。 シロ「ここほれ、ここほれワンワン!ワンワン!」
お爺さんはまたほってみました。
お爺さん「うーん・・・」
やっぱり、何も出てきません。 シロ「ここほれ、ここほれ!ここほれ!」
シロはそれでも穴をほれと訴えかけます。
お爺さんはその度に何度も何度もほり続けます。
しかし何も出てきません。 腹が立ったお爺さんはシロを殴りつけました。
お爺さん「何も出てこないやんけ!」
シロ「キャンキャン!」
シロはその場にうずくまり、動かなくなってしまいました。 そして、静かに息をひきとりました。
お爺さん「シ、シロ・・・」
シロの死体を見て、おじいさんは悲しくなりました。
そして、シロを埋めてやろうと桜の木の下をほりました。 すると・・・
お爺さん「ややっ、これはすごい!」
なんと地面の中から大判小判がザクザクと出てきたのです。
おじいさんはシロのことをすっかり忘れて小判に夢中になりました。
そこへお殿様が通りかかりました。
お殿様「これ、この犬はお前の犬か?」お爺さん「え・・・?は、はい・・・た、確かに私の犬ですが・・・さっき息をひきとりました」
お殿様「いや、まだ息をしておる!生きておるぞ!早く医者に連れていくがよい!」
お爺さん「し、しかし・・・お、お金が・・・」
お殿様「金ならお前が小判を持っておるではないか!」お爺さん「この小判は・・・老後の金です」
お殿様「既にお前は老後を迎えておるではないか!」
おじいさんとお殿様はその場で押し問答を繰り返しました。 そのとき・・・
その様子を見ていた欲張り爺さんは、チャンスとばかりにシロを抱きかかえました。
欲張爺さん「お殿様、この犬はこの欲張りじじいが医者に連れてまいります!」お殿様「なに、お前が医者に?」
欲張爺さん「はいっ!おまかせください!」お殿様「そうか、それではさっさと連れてまいれ!」
欲張爺さん「お殿様、医者代として金貨2枚をください!」
お殿様「なに、お前も金か!」欲張爺さん「しかし・・・お金がなけば医者にもかかれません!」
お殿様「そこの小判を使えばよいではないか!」
お殿様はお爺さんが持っている小判を指さして叫びました。
お爺さん「いえ、この金は老後に・・・」お殿様「貴様!まだそのようなことを!」
そうこうしてるうちにシロは本当に息をひきとってしまいました。
お爺さんは金に目がくらんで、犬を助けなかったことを村人にののしられ、 『頭にお花が咲いている、花咲じいさん』とあだ名を付けられました。
おしまい
新・三年寝たろうに続く・・・