わが家の息子(11歳)はASD(自閉症スペクトラム)です。
今では使いませんがより分かりやすくということで、心理療法士の先生は「アスペルガー」という言葉で息子を表現されていました。
今回は息子が年中から習っているサッカーのお話です。
始まりは
自分のルールを押し付けてしまう息子にチームスポーツをやらせようと考え、年中の2月にサッカーの体験をすることにしました。
サッカースクールでは知らないチームメイトと走り回り、先生に褒められるのが嬉しかったようです。
終わってから「サッカーやる」と前向きだったため、そのまま始めることにしました。
入会時に子供に望むこととしてスクールへの提出用紙に書いたことは「ルールを守ってみんなと協力する」でした。
息子にとってサッカーが楽しいことの一つになればと思いました。
失敗
そんなこんなで最初の勢いはどこへやら、実際に始めてみると特別サッカーが好きという様子もなく、家でボールを触ることもなく、なんとなく続けているような感じでした。
初めて1年ほどのある日、サッカースクールからセレクションの案内が来ました。
母「セレクションあるけど受ける?」
息子「うん」
親も息子もよく分からないまま、とりあえずセレクションがあるし、子供もやるというので受けてみることにしました。
結果は受かりませんでした。
ただ、この「参加」という判断を後々後悔することとなりました。
というのも、セレクションは周りすべてがサッカーの上手い子たち。
日常的に練習をするわけでもない息子との差は歴然です。
参加後は自分に自信がなくなって、サッカーに行くことが嫌になってしまったのです。
何でもチャレンジすればいいというスタンスでしたが、このときばかりは考えなしだったと悔やまれました。
続けるべきか
モチベーションだだ下がりの中なんとか続けていたのですが、3年生のときには一緒にやっている年上のチームメイトに「お前下手だから後ろで守ってろ」と言われて、サッカーが怖くなってしまいました。
その当時の息子の動きは
・サッカーゴールのそばで立っている(ゴールキーパーではない)
・ボールを持った相手が迫ってくると遠慮してしまう
・自分にパスが来るとすぐに誰かに渡す
・前に走らない
・スローインは絶対やらない
といった状態でした。
それでもたまにお休みしながらなんとか続ける日々。
その後4年生になって、年上のチームメイトがいなくなってからは多少持ち直したものの、根底では「自分は下手だ」というコンプレックスであまり楽しめていないようでした。
こんな状態で続けるべきなのだろうかと悩んでいたときに、同僚の元サッカー少年から
「もともと自分はサッカーが好きではなかったけれど、続けていたらある時好きになった」というお話を聞きました。
私の中では、せっかく小さい頃からやっている唯一のスポーツなので、今の嫌なイメージで辞めて欲しくない。
好きとは言わないからせめてもう少し楽しめるようになるまで続けてほしいという気持ちが大きかったので、今の息子の状態だけを見て決めるのはやめました。
嫌でも続ける
未来の息子に期待を持ってはいても、実際にサッカーに行きたくなくて、車の中で立てこもったり、暴れたり、泣き落としたりというのはお互いしんどい状況でした。
息子の動きも自信のなさが出て、相変わらずの状態でした。
そんな中でもコーチは、息子のプレイに声をかけ続けてくださいました。
練習の途中でコートに入ることもあったのですが、居場所をさり気なく作ってもらえたのが良かったのかもしれません。
チームメイトと少しずつコミュニケーションがとれてきたらかもしれません。
5年生になった今は、「緊張してお腹痛くなってきた」とは言うものの、時間になると「がんばってくるよ!」と車から駆け出していくようになりました。
今の息子の動きはというと
・みんなと一緒に走る
・ボールを持った相手が迫ってくると守るためのディフェンスの動きをする
・自分にパスが来るとドリブルで相手ゴールに向かう
・相手が来たらフェイントする
・スローインもやる
・ゴールする
という感じで、チームメイトともニコニコしながらサッカーをしています。
相変わらず家での練習は一切やらないので、リフティングは4回ぐらいしかできませんが、サッカーを楽しいとは思えるぐらいには動けるようになりました。
まとめ
以前、元ラグビー日本代表・小野澤宏時さんの講演を聞いたときに、「7年やれば上手くなる」というようなことを話していました。(ちょっとうろ覚えですが・・・)
家でほとんど練習しない息子ですが、それでも6年続ければ本当に少しずつ上手くなるということを実感しています。
ようやく楽しむためのスタートラインに立ちました。
息子とは6年生卒業まで続けようと話しています。
その後、サッカーをやるかどうかはわかりませんが、「嫌だ」という気持ちはなくなったように見えます。
だって、「なにかスポーツしているの?」って聞かれると、笑って「僕サッカーやってる」と言ってますから!
無理やり続けるのが良いのかは分かりませんが、どうなって欲しいかという未来を思い描きながら行動したからこそ、今の息子の笑顔があるのだと思います。