自閉っ子の人生初インフルエンザ ~変身~

の続きです。もう少しお付き合いください。

6日目(木曜日)

明け方、娘のおでこを触ると、明らかに平熱と思われるヒンヤリ感。さっそくピピピっと光線を当てて測ってみると36.5℃でした。

これまでも朝方には何度か37.1℃になっていましたが、昼や夜になるとまた上がってしまって落ち込んだものです。

でもこの日はもう37℃を超えることがありませんでした!

正座でiPadにいそしむ娘。礼儀正しいです。

7日目(金曜日)

この日も平熱で安定。ただし学校での学年閉鎖が延長されてしまったため学校へは行けず。妻もまだ熱が下がらないので、わたしはもう1日お休みをいただいてふたりの面倒を見ることに。

熱は下がった娘ですが、鼻水をすすってはそれが原因でせき込むなど、つらそうにしています。鼻をかむことができないのでしょうがないとしても、慢性的に鼻をすすっていると心配なのが「副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)」です。

ひどくなると手術モノなので、鼻水を吸い出してあげることにします。何年か前にモーター式の鼻水吸引機を買ってあるのです。

薬を飲むときと同じように私たち両親がマウントを取り、両手両足を押さえつけます。吸引機を数年ぶり見た娘はすぐに前回のトラウマが蘇ったようで泣きわめいて暴れます。

なんとか鼻の穴にノズルを入れます。でも思うように鼻水が取れません。鼻水に粘りがあるようです。

おとなしい子ならいざ知らず、じっとしていてくれない娘の鼻水を1秒でも速く吸いたいというニーズに対しては吸引力がいまひとつ。あと、電源のそばじゃないといけないのもちょっと不便です。

「しょうがない、例のアレだな」

わたしたちが選んだのは「親が自力で吸い出す」シンプルな吸引機。赤ちゃんの頃に使っていたもので、鼻に挿入する管と親が吸い込む管の間に小さな容器があり、親の息で吸った鼻水がそこに落ちるというものです。

娘が暴れることには変わりないのですが、自慢の肺活量でぎゅん!と吸い込むと、手応えのある量の鼻水が取れました。しかし鼻を傷めないような力加減は難しく、かわいそうに鼻血が出てしまうことも。

何より悩みどころなのは「インフルエンザの娘の鼻に管を入れて思いっきり息を吸い込む親がそのあとどうなるか」です。

幸いわたしたちはインフルエンザにはなりませんでしたが、今後も「娘が鼻をかめない問題」は続くことになります。

あと、あんなにも大声で子供が泣きわめいているのですから、事情を知らない人が聞くと「虐待だ」という誤解を招きかねません。実際、娘にとって薬を飲ませたり鼻水を吸ったりしている時のわたしたちは怖い存在かもしれないですしね…。

鼻水さえ取れれば1日の大半をこうしておとなしく過ごす娘。賢くなった?

8日目(土曜日)

娘の熱はもう大丈夫。小児科へ行って再び診察を受け、「登校許可証」をもらわないといけません。1週間ぶりの病院も混み混み。またクルマの中で1時間以上待ちましたが、娘はおとなしく待ってくれました。

先生にも「自力で頑張ったね!」とほめてもらいました。

車内で待つ娘は「ぬけがら」のよう。こうやっておとなしく待てることがやっぱりヘンです。

9日目(日曜日)

妻の熱もなんとか下がって外出こそ控えたものの「家族の誰もふとんにいない1日」を過ごすことができました。さあ、明日から娘は学校!わたしも会社です。

姿勢がだんだん「ワル」になってますね。一見なんでもわかってそうに見える娘。妻は「突然『ねえお母さん、ここがわかんない』とかしゃべり出さないかな」と変な期待をしていました(笑)。

10日目(月曜日)

娘はちゃんと起きて納豆ご飯を食べ、いつも通り電車に一駅乗り、スクールバスに乗り込んでいきました。ひとまずホッとひと安心。でもわたしたちにはまだ心配ごとが残っています。

「娘がいい子すぎる!」

おとなしいのはうれしいのですが、笑顔も少ないので「なんかつまんない」「物足りない」なんて自分勝手な感想を漏らすわたしたち。

学校や放課後デイサービスの連絡帳にも「おとなしくていい子ですが、元気がありません。心配です」と書いてありました。

久しぶりにバス停へ。なんとなくふらつき気味

11日目(火曜日)

熱が下がってこの日で6日目になりますが、娘はまだ「おとなしい優等生」です。これまでにも「噛まない・ひっかかない・夜中に起きない」の「3ない運動」を何度もご提案してきたのに聞く耳を持たない娘が、きょうもいい子過ぎるのです。

ひとつ気がついた点は「インフルエンザになる前よりも体温が低い」ということ。いつも使っている体温計では娘の平熱は36.8℃から36.9℃ですが、この数日間はほぼ36.5℃を超えないのです。

「ウイルスと闘いすぎて疲れたんだね」と言ってはみるものの、元気のない娘はやっぱりつまらない。病院に連れて行った方がいいのかな…。

12日目以降

なんて心配はすぐに吹っ飛びました。

結局娘の体温は元通りにもどり、笑いだしたら止まらない「ゲラ子」ぶりが帰ってきました。

噛むわ、ひっかくわ、謎の曲を舞い踊るわ、も大復活。むしろパワーアップしており、わたしたちも生傷と打ち身が絶えない日々が再開しました。「超回復」ってこのことなんですね(笑)。

ただひとつだけ続いている異変は「夜中に起きなくなった」こと。これひとつだけでも続いてくれたら、ことしのインフルエンザを耐えておつりがくるぐらいうれしいです。

インフルエンザの流行はまだ続いています。みなさんもお気をつけて!