まちはどうなる、どうつくる(陸前高田発)

夜の神戸で「まちびらきのためにはまずひと起こし、むしろひと起こしがあって初めてまちびらき」と意気投合した彼と、数日後、陸前高田で再会した。

再会したのは陸前高田で活動する主だったNPO団体が主催し、これから新しくつくられていく町にどうしたら「にぎわい」をもたらすことができるかというワークショップの最終日。この日は会議の主体であるNPOのみならず、行政や地域の事業者をゲストに招いての会合だった。

どうすればまちを盛り上げることができるのか、グループに分かれてのワークショップが始まった冒頭から、自分が参加したグループでは行政からの爆弾発言。

まちづくりをどうするか考えてきたNPO側は、これまで「たとえ場所がなくったって、仮設テントを張ってでもまちおこしイベントを、やる!」くらいの勢いだったのだが、行政側は「まちおこしのためのスペースは準備している。問題は、そこで誰がどんなメニューでイベントを継続的に開催してくれるのか」との意識だったことが、その日その場で判明した。

つまり相思相愛。お互いこれまでツンデレだったのは何なの、といった大団円がいきなりやってきたわけだ。

人がいてこそ、にぎわいがあってこその町という考えは、誰もが共有していた。しかし、行政としては、建物を造ったりはできても、そこで繰り広げられるコンテンツにまで手出しをすることは難しいし、たとえやれても効果は疑わしいということだったらしい。

対してNPOはコンテンツや外部とのつながりは持っていても、その事業を展開するための場所がない。場所だけではない。お金もないし、人もない。

とはいえ、行政とのリレーションはあるのかと思っていたが、実際そうでもないということにも驚かされた。おそらくNPOと事業者の連携が現状では薄いということなのかもしれない。されど2016年12月7日は、三者のニーズが合致した記念すべき瞬間だった。(残念ながら地元紙すら取材に入っていなかったから、報道のアーカイブからは漏れてしまうのかもしれないが)

陸前高田で新たにつくられる中心市街地に、イベント等を開催できるスペースは屋外・屋内含めて二桁に上るようだ。新たな市街地への集客を行うためには、これらのスペースの有効活用が欠かせない。とはいえ、問題はどれだけのイベントメニューを準備し、実施していけるかだ。

「まちびらきのためにはまずひと起こし」

意気投合した言葉の意味がより重たくも感じられる。新しい中心市街地の最初のオープン予定は来年3月。人が集えるコンテンツを自分も考えていかなくちゃ。