イエメンの次に空路で向かったのが、世界四大文明のひとつ、古代エジプト文明があったエジプトです。
古代エジプト文明は、今から約5千年ほど前に始まったとされています。大きく4つの時代――古王国・中王国・新王国・末期王朝――に分けられており、一番古いのは古王国で、発祥の地はメンフィス。今のカイロ付近にあたります。その後、首都は時代やファラオによって移ったものの、主な都はこのメンフィスと、現在のルクソールにあたるテーベにあったといいます。
今回は古王国の代表的な遺跡であるピラミッドを、そして次回にルクソール近郊の遺跡をご紹介します。
カイロ近郊にある代表的なピラミッド
エジプトと聞いて真っ先に頭に思い浮かぶものがピラミッドでした。この巨大な建造物のほとんどは古王国の時代に造られています。そのため都があった現在のカイロ付近に多く点在しています。
なかでも一番有名なのは、最も大きいクフ王のピラミッドがあるギザの3大ピラミッドではないでしょうか。3つとも別のファラオによって造られたもので、写真奥からクフ王、カフラー王、メンカウラー王のものです。(※真ん中のカフラー王のものが一番大きく見えますが、これは高い位置にあるためで、実際は一番奥のクフ王のものが最大です。一番手前に3つ横に並んでいる小さなものは王妃たちのピラミッド)
クフ王のピラミッドは平均2.5トンの石灰岩を230万個使用して210段、高さ約147メートル――建設当時の高さ――もあります。日本は当時、竪穴住居で知られる縄文時代。驚きの文明です。
以前、ギザのピラミッドは荒涼とした砂漠の中にどんとあると思っていました。しかし、実際はすぐ近くに街が広がっています。訪れる前にこの話を聞いていたため、一種の覚悟のようなものを持って現地に行きました。ところが、南側には砂漠が広がっていたのです。見る位置によってはピラミッドが建設された当時に思いを馳せることができます。嬉しい誤算でした。
三大ピラミッドのなかで印象的だったのはメンカウラー王のピラミッド上部に残る化粧石です。建設当時はこの石が全面に使われていたといいます。在りし日の姿を思い浮かべていました。
ちなみに以前はピラミッドに登ることができたそうですが、残念ながら今は禁止。てっぺんからの景色をぜひ見たいと思っていただけに残念でした。
しかし、その代わりに中に入ることはできました。ピラミッドの内部には部屋や通路があることは知られていますが、入場できる人数には制限があるのです。
ピラミッドの中へ入るための特別入場券を購入していざ内部へ。入口は高さ20メート弱程度の壁面にあります。ピラミッドの大きな石のブロックを上るために造られた小さな階段をあがって入口から中に入ります。そして、大回廊と呼ばれる狭い通路を上り、王の間へ。部屋には石棺がぽつんとひとつありました。憧れのピラミッドの内部に入ることができ大満足です。
写真の階段上のピラミッドは、サッカラにあるジェセル王のピラミッドです。初期に作られたもので最も古いピラミッドとされています。ピラミッドは三角形――正四角錐――というイメージを覆せられるものです。写真の右下に小さく写っている人間でその大きさがわかります。
個人的に最も心を動かされたのが、ダハシュールにある写真の屈折ピラミッドです。途中から傾斜がゆるくなっているのが特徴です。当初の設計では急な斜面だったものの、建設途中で石にひび割れができたために上部の傾斜をゆるめたとも言われています。
屈折ピラミッドの魅力は、他と比べて化粧石が多く残る美しい壁面が見れるのに加え、そのロケーションにありました。このピラミッドの周りは荒涼とした砂漠が広がっているのです。最も想像していたピラミッド像に近かったのが屈折ピラミッドでした。