事故原発の構内にコンビニエンスストアが開店した。昨年開設された大型休憩室の一角がローソンとして3月1日にオープンした様子が東京電力の動画サイトで紹介されている。
まさしく鉄筋コンクリート製の施設の一室がコンビニになったといった感じ。それでも、事故原発の構内でコンビニの制服を目にするようになるとは!(店員さんの中には女性の姿も見られた)
品揃えは食料品ばかりではなく菓子や歯ブラシ、マスクや石鹸、風邪薬まで。一般的なコンビニと同じような感じ。
おにぎりやサンドイッチ、カップ麺やペットボトル飲料などの食料品は種類も数も豊富に見える。しかし、福島第一原発では7000人もの人々が働いているという。この程度の品数でとても充足するわけがない。
かつて国道6号線が閉鎖されていた頃には、立ち入り禁止の検問所近くの「最後のコンビニ」の繁盛ぶりはたいへんなものだった。南相馬市の大甕にあったセブンイレブンが朝8時頃には、店の中の品物が見事なほど空っぽになっていたのを思い出す。原発の南側、いわき市に近い側では、セブンイレブンとファミリーマートが「最後のコンビニ」の出店競争をしていた。原発最寄りのコンビニは、出勤時間にはレジに15分くらい並ぶことも珍しいことではなかった。
原発で働く人たちの人数は想像を絶するほど多い。大型休憩所にしても、原発で働くすべての人たちが利用しているかというと、決してそうではないらしい。休憩所への入り方を知らない人や、存在すら知らない作業員までいるという話も耳にする。
事故原発の敷地内にコンビニという「日常的」な場が出現したことは、敷地内の線量が減少したことを示すものでもあるし、廃炉作業の進展を印象づける出来事でもあるだろう。
コンビニのオープンがスタンドプレイではなく、作業員のために実のある役割を果たしてくれることを祈りたい。