昨日から各種報道で「水爆」という言葉を度々耳にします。核兵器であることは知っているものの、原爆とは違うのか?など、分からないことも多いので調べてみました。
水爆と原爆の違い
水爆と聞いてまず最初に思ったのは、「原爆とは違うの?」ということです。調べてみると、どうやら2つの違いは、破壊をもたらすエネルギーの生み出し方が異なるようです。
原爆は、1つの原子核が2つ以上に分裂する、いわゆる「核分裂」反応の際に発生するエネルギーを用います。
使用される材料は、他の元素に比べて核分裂しやすいウランやプルトニウムといった重い元素で、これに中性子を衝突させることによって起こすそうです。核分裂反応を利用した代表的なものには原子力発電があります。
一方の水爆は、2つ以上の原子核が合体して別の1つの原子核になる「核融合」反応の際に発生するエネルギーを用いています。
核融合は、最も核融合を起こしやすい重水素や三重水素などを超高温・超高圧の環境下で衝突させて起こすそうです。核融合反応の代表的なものには太陽があります。
このように水爆も原爆も同じ核反応で発生するエネルギーが使われるのですが、それが核分裂によるものか、核融合によるものかの違いがあるようです。
水爆について
前述の通り、水爆は核融合反応を用いるために超高温・超高圧の環境が必要となります。この状態を作り出すため、水爆の起爆には小型の原爆が使われているそうです。
水爆のエネルギーは原爆を上回り、現在ある兵器のなかで最も破壊力があると言われています。
例えば、ウラン燃料1グラムが核分裂反応で生み出す燃焼エネルギーは、石油に換算すると約1.8トンに相当しますが(※核分裂反応にも膨大なエネルギーがあります)、核融合は重水素と三重水素の燃料1グラムで石油約8トンもの燃焼エネルギーを生み出すといいます。
さらに、原爆に使われている核分裂反応は物理的特性上(※実際に核分裂を起こすのは使用されるウランの10~20%ほどとのこと)、爆発力に限界があるものの、水爆にはそれがなく、核融合反応に使用される物質(※水素など)の量に比例して爆発力が増すそうです。
そのため、原爆よりもはるかに破壊力の強いものを作ることが可能で、過去には広島に落とされた原爆の3,300倍もの水爆を旧ソ連が製造し、実験で使用しています。
破壊力だけではなく、水爆がもたらす放射能も気になります。重水素と三重水素による核融合反応から生み出されるのはヘリウム、中性子、エネルギーで、高レベルな放射性物質は出ないと言われています。
しかし、中性子は放射線の一種であり、水爆の爆発時には中性子線を始めとして、人体に有害な様々な放射線が発生します。また、起爆に利用される核分裂反応では、人体に悪影響を及ぼす多くの放射性物質が出され、それは半永久的に残ります。
現在、製造には原爆よりも高度な技術が必要とされる水爆を保有しているのは米国、ロシア、中国、イギリス、フランス、インドなどと言われています。廃絶すべきこれらの兵器を持つ国がこれ以上増えないことを切に願います。