気温が下がり、過ごしやすくなる秋はトレッキングなどアウトドアでの活動に適した季節です。そこで、森や山など、陸上にいる危険な生物について、数回に分けてご紹介していきます。5回目の今日は「ムカデ」です。
ムカデについて
日本には140種以上のムカデがいると言われており、このうち人に被害を与えるものとしては「トビズムカデ」などがいます。
ムカデはかなり獰猛な昆虫です。夜行性で主にバッタやゴキブリなどの虫を食べますが、ときには小型のネズミを襲うこともあります。体長は大きい種で15cmほどですが、なかには20cm以上に成長する個体もいるといいます。
生息地は種によって異なるものの、人間にとって危険なムカデは日本全国におり、湿気の多い場所を好みます。ムカデに遭遇する危険性は野外だけにあるとは限らず、ゴキブリなどを虫を狙って家の中にも入ってくることもあります。
ちなみにムカデに似た昆虫に「ヤスデ」がいます。いずれも多数の体節をもち、そこから肢がはえていますが、両者の一番の大きな違いは体節からの肢がムカデは一対なのに対し、ヤスデは2対あることです。
ムカデに咬まれた場合の応急処置
ムカデは咬んだり足の先で皮膚に傷をつけて、そこに毒を塗りつけます。傷口は赤く大きく腫れ、電気が走るようなビリビリとした激痛に襲われます。症状が重い場合には血圧の低下や呼吸困難になることもあるそうです。特に危険なのは過去に咬まれた経験がある人で、ハチと同じようなアナフィラキシーショックを引き起こすこともあります。
ムカデの毒で命を落とすことはまずないと言われていますが、とても強力です。ただ、熱には弱く、ある一定の温度以上になると毒性が失われます。そのため、応急処置としては熱いお湯でしっかり洗い流します。この時、弱酸性ではない石鹸やシャンプーで洗い流すとより効果的です。
流す際のお湯は43度~46度のものを使います。ぬるいお湯を使用すると逆に痛みが増すなど、症状が悪化することもあるので注意が必要です。
お湯で十分に洗い流した後、ステロイド系の軟膏やクリームがあれば塗ります。
症状が重い場合には病院へ行きます。特に過去に一度でも咬まれるなどして、めまいや嘔吐、頭痛、呼吸困難、血圧の低下等のショック症状がある場合には速やかな受診が必要です。
応急処置を行う際の注意点として、「傷口を冷やさない」、「口で毒を吸い出さない」ことがあります。
昔、子供の頃に一度だけ林の中でムカデに咬まれたことがあります。まだ幼かったためにその頃のことはほとんど覚えていないのですが、ムカデに刺された記憶だけは残っています。友人にも咬まれた人が数人いますが、あまりの激痛にトラウマになったと口をそろえるように言っていました。
比較的身近にいるムカデの被害は誰もが受ける恐れがあります。応急処置を覚えて、万が一、咬まれてしまった時には冷静に対処したいですね。
<「陸に生息する危険生物 Vol.6」 へ続く>
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紹介:sKenji