防災の日の前日、石巻日日新聞に掲載されたちょっといい話「本格的400メートルトラック完成 石巻専修大 地域に開放」

石巻市にある唯一の大学「石巻専修大学」。震災直後から災害ボランティアの拠点として、また支援物資等の供給基地として、さらには石巻赤十字病院の仮診療所として地域の復旧に力を尽くしてきた大学だ。学生や職員は自らも被災者でありながら、大学に避難してきた地域住民への対応に走り回ったという。

食事の世話、病人への対応、寝床づくり、子供たちの遊び相手、そして被災地の避難所で共通の大問題となったとなったトイレの清掃……。学生中心のボランティアはやがて学内のみならず、市内の小学校の避難所などへと活動の場を広げていった。

そんな石巻専修大学発のうれしい知らせが石巻日日新聞に掲載されている。

 石巻専修大学の陸上競技場に400メートルトラックが新設された。開学時からあった300メートルトラックを修繕し、その外周に競技基準を満たす新たなトラックを整備した。これまでと同様に地元の陸上競技団体などにも開放する。

引用元:「本格的400メートルトラック完成 石巻専修大 地域に開放」 石巻日日新聞 | 2015年8月31日

石巻地方には本格的な陸上競技用のトラックは女川町の総合運動公園の1カ所しかなかったが、震災後は取り壊されて現在は災害公営住宅が建てられている。地元の陸上選手たちは地域外の施設を利用するしかない状態が続いていた。

震災による大きな被害を受けた石巻市や女川町が、陸上競技場の新設まで手が回らないのは誰が考えてもわかる。そこに私立大学が協力の手を差し伸べたわけだ。

30日に開催された完成披露式典には、石巻専修大学の駅伝チームなどのほか、地元のスポーツ少年団も参加して走り初めを行ったという。1周400メートル、110メートル直送路を備える国際陸上競技連盟認証の全天候型トラック誕生は、地域の人たちにとっても大きなよろこびだろう。

9月1日は防災の日。事前の準備や訓練とともに重要なのは、事が起きる前から地域に協力の基盤が育まれていることだ。企業や組織と住民たちの協力体制、いや体制といった堅苦しいものではなく、人と人としての顔が見えるつながりがなければ、地域が大きなダメージを受けた際に立ち上がることもままならないだろう。

新設したトラックを地域に開放する石巻専修大学の姿勢はいいなあ。
そんな「いい話」を伝える石巻日日新聞は、地域紙としての使命を全うしているなあ。

そんなことを思わずにいられない記事だった。

石巻日日新聞 2015年8月31日