同志社大学大学院ビジネス研究科教授でエコノミスト、安倍政権の経済政策を「アホノミクス」と鋭く批判し続けている浜矩子さんが、日刊ゲンダイで「目からウロコ」の指摘をしているのでご紹介。
富国のための強兵と強兵のための富国
経済の基本は弱者に配慮した経世済民。ファシズム的な経済政策を推し進めたファシストたちは国内外に力を誇示してきた歴史がある。巨大アーチの新国立競技場もファシスト的。マネタリーベース(日銀が供給しているお金の総額)がGDPの6割を超えている現状は、第二次世界大戦終戦直前の4割をはるかにしのぐ異常な状態。といった指摘に続いてこう述べた。
今年4月に訪米した際、米国の笹川財団で「私の外交・安全保障政策は、アベノミクスと表裏一体であります」とスピーチ。その真意を記者に聞かれると、「経済を成長させ、そしてGDPを増やしていく。それは社会保障の財政基盤を強くすることになりますし、当然、防衛費をしっかりと増やしていくこともできます」と解説しました。
明治維新の富国強兵は、富国のための強兵でした。欧米列強の植民地となり、国土を食い散らかされないための強兵です。しかし、安倍政権のそれは、強兵のための富国、防衛費を増やすためのアベノミクスにほかならない。まさに、過去のファシストが追求した強さや力に固執するために、経済を成長させようとしている。そのためには、弱者を切り捨て、日銀の自由も取り上げた。そう米国で白状したのです。
アベノミクスが国民を豊かにするためのものならば、特定秘密保護法、安保法制、TPP交渉参加、原発再稼働、基本的人権を制限する憲法改正や解釈改憲のように国民生活を脅かすような政策が出てくるはずがない。
浜教授が言うように、政府が発行する国債を日銀が買い取る(つまりお金が市場に出回る)という錬金術の狙いが「強兵のための富国」だったと考えてはじめて腑に落ちる。
異論を認めず、多様性を否定したファシズムに取りつかれた指導者たちは、国家を崩壊させています。日本もその二の舞いになる危険性は高いでしょうね。
浜教授はそう指摘するが、実質GDPのマイナス成長、中国の景気後退や世界同時株安など、アベノミクスの先行きには暗雲が立ち込めている。第三の矢が内実の伴わない「空手形」に終わってしまえば景気はたちまち失速、浜教授のいう「崩壊」がにわかに現実味を帯びてくるかもしれない。