女川駅「ゆぽっぽ」入湯記

駅よりまず温泉とはナニゴトかとのご意見も御座居ましょうが、女川駅と言えばやっぱり駅の温泉「女川温泉ゆぽっぽ」なのです。

女川駅は今年2015年3月21日の「まちびらき」の日に開業し、石巻線の始発として再開の歴史を開きました。翌日3月22にオープンしたのが駅に併設された温泉施設ゆぽっぽです。女川温泉ゆぽっぽは震災前から駅に隣接して営業され、町の人たちの憩いの場所となっていたが、震災により破壊されてしまいました。

「ゆぽっぽが無くなってしまったのがね」

津波で破壊された町でそんなふうに話してくれる人が何人もいたのを思い出します。

建築家・坂茂さんのデザインによる駅舎の左側がゆぽっぽの入り口で、2階部分が浴場と休憩室。そのふたつを結ぶ渡り廊下からは、青い青い女川の海へ続くプロムナードと生まれ変わりつつある女川の町が見渡せます。

木の温かさが伝わってくる内装です。奥が浴場。右が男湯、左が女湯
ちょうど改札通路の上に当たる渡り廊下からは海が
誰もいなくなったのでちょっと失礼してパシャ
休憩室も明るくてあたたかな雰囲気
休憩室の壁面に飾られたタイルのパネルには、さまざまな物語が…

館内の内装もインテリアも、浴場の風呂桶や椅子も木の雰囲気でぬくもりが伝わってきます。

湯船は大小2つ。どちらも同じような温度。お風呂につかると、まるで温泉とは思えないくらいにあっさりした泉質で、においもなくて、いわゆる「温泉」というイメージからはほど遠いもの。といって貶しているわけではありません。

清潔感にあふれるお風呂というイメージは、とても貴重なものだと思うのです。サウナがあるでもなく、露天風呂はおろか、外の景色を見ながらお風呂につかれるというものでもないのですが、とにかくピュアな感じが好ましく思えるお風呂でした。

で、お風呂を上がった後になって、じわじわと「いやあいい温泉だった」ということを思い知らされるのです。真夏の、それも猛暑日が続くような東北では珍しい日の昼間の温泉だったのに、上がった後もずっとお肌がすっきりさらさらなのです。町の人たちが震災後にゆぽっぽを懐かしんでいらした気持ちが少し理解できたような気持ちになれました。女川温泉ゆぽっぽはそんな貴重な温泉なのです。

女川温泉ゆぽっぽ

春夏秋冬、季節の変化と、生まれ変わっていく女川の姿を楽しめる女川温泉ゆぽっぽへぜひ!