梅雨が明け、うだるような暑さが続いているのに伴い、熱中症による救急搬送が急増しています。
特に梅雨あけの7月下旬は、体が気温の上昇に慣れていないために熱中症が増える季節でもあります。暑い季節を迎えるにあたり、今日は環境省の「熱中症環境保健マニュアル2014」を元に熱中症の症状や対処方法などを調べました。
熱中症の症状について
熱中症という言葉をよく耳にしますが、これは高温の環境下で体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして発症する障害の総称で、具体的には「熱失神」、「熱けいれん」、「熱疲労」、「熱射病」などがあります。
「熱けいれん」とは手足がつったり、筋肉痛など、体の一部がけいれんを起こすものです。そして、熱中症でいう「熱失神」とは、気を失うだけでなく、立ちくらみも含めて指しています。
これらの症状は熱中症のなかでも比較的軽症で、現場において対応処置を施すことで改善されることが多いといいます。
詳細な対処方法については後ほどご紹介しますが、すぐに涼しい場所へ移動して体を冷やし、水分を補給することにより回復することが多いそうです。もし、それでも改善が見られない場合は病院に搬送します。
「熱疲労」とはズキンズキンとするような頭痛や吐き気、体がぐったりとしたり、力が入らなくなるような虚脱感などの症状が表れるといいます。また、軽い意識障害が発生する場合もあります。これらの症状が出て、自分で水分等を取ることができなかったり、症状が重い場合には病院に搬送します。
「熱射病」は呼びかけなどに対して反応がない、あったとしても正常でない返事をするといった意識障害や、全身のけいれん、真っ直ぐ歩けないなどの運動障害、皮膚が乾いて体に触ると熱いといった症状が出るそうです。熱射病は最も危険な状態にあり、命を失うこともあるのですぐに病院に搬送します。
熱中症を引き起こす条件について
昨年6~9月に熱中症により救急搬送された人の累計は全国で40,048人もいるそうです。昨年は比較的涼しかったためにこの数字であったものの、それ以前の4年間では平均で51,755人もの方が救急車などで運ばれたそうです。
熱中症を引き起こす条件として「環境」、「からだ」、「行動」の3つがあり、具体的には次のようなものがあると言われています。
○環境
・気温が高い
・湿度が高い
・風が弱い
・日差しが強い(※照り返しが強い、ふくしゃ熱が強い)
・締め切った室内
・急に暑くなった日
○からだ
・高齢者、乳幼児、肥満の方
・糖尿病、心臓病、精神疾患などの持病がある
・二日酔い、寝不足などによる体調不良
○行動
・激しい運動
・慣れない運動
・長時間の野外作業
熱中症はその日の最高気温が30度を超えるあたりから亡くなる方が増え始め、その後気温が高くなるにつれ、死亡率が急激に上昇すると言われています。また、夜間の最低気温が25度よりも高い熱帯夜にも命を落とす危険性が増すそうです。
熱中症の危険性に関する指標として「暑さ指数(WBGT)」と呼ばれるものがあります。これは気温の他、熱中症を引き起こす大きな要素である「湿度」と「日射・ふくしゃ熱」も考慮にいれたもので、単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示します。
例えば暑さ指数が31℃以上の場合、指針によるとなるべく外出を避け涼しい場所へ移動し、運動は原則中止すべきとなっています。暑さ指数と行動に関する指針の詳細については、下記WEBサイトに記載されています
熱中症に対しての危険性の判断は、最高気温よりも暑さ指数を元に判断するのが望ましいと言われています。各地の暑さ指数の予報については下記のWEBサイトにあります。
熱中症に対する具体的な対処方法
熱中症の対処方法として、症状に応じて「涼しい場所への移動」、「水分等の補給」、「衣服をゆるめて体を冷やす」などがあります。
「涼しい場所」とは日陰、風通しの良い場所、エアコンの効いた室内などがあります。そのほか同じ日陰でも、湿った地面などの方がアスファルトよりも気温が低いこともあるかもしれません。いずれにせよ、熱中症になった場合はまず最初に涼しい場所に移動することが基本とされています。
「水分等の補給」について、補うのは水だけでなく塩分も同時に行う必要があります。具体的にはスポーツドリンク、水の場合は1リットルに対し食塩1~2g程度を溶かしたものが良いとされています。飲料の場合は、100mlあたりのナトリウム量が40~80mが適当とされています。また水分は冷えている方が体内から体温を下げる効果も期待できるので望ましいです。
「衣服をゆるめる」について、環境省の「熱中症環境保健マニュアル2014」などを始めいろいろ調べると、極力服を脱ぎ皮膚を出して熱を放散しやすくするとあります。そして、着用しているものについてもベルトや下着をゆるめるなどして風通しをよくするようします。
ちなみに、衣服をゆるめる際には「ベルトを緩めますね」などと声をかけながら行うと、相手との意思疎通や緊張感緩和に加え、周りにいる方からの誤解を避けることにもつながると以前受けた救命講習で教わりました。
「体を冷やす」方法として、皮膚に水をかけてうちわなどで扇ぐ方法があります。熱射病が疑われる際には、すぐに全身に水をかけたり、氷袋や濡れたタオルなどを当てて体を冷やします。特に首すじ、脇の下、大腿部など、皮膚直下に太い血管がある場所に当てると効果的だそうです。
氷袋はコンビニなどが近くにあれば、お酒やジュースなどにいれるビニールパックに入った氷を代用できます。また自動販売機があれば、冷たい缶ジュースなども代わりに使用することができます。ちなみに熱が出た時におでこに張るジェルタイプのシートは、熱中症には効果がないそうです。
熱中症は誰もがかかる恐れがあります
今回、熱中症の症状や対処法などについて調べましたが、予防の基本は暑さを避け、こまめに水分を補給することです。特に気温が高い日の日中は激しい運動や移動をさけて意識的に水分を取るようにしたいものです。
参考までに、体重70kgの人が安静にしていた場合の1日当たりの水分摂取量と排出量は、およそ2.5リットルだそうです。このうち食事等などで得られる水は1.3リットルなので、少なくとも1.2リットルは飲む必要があるそうです。
小さなお子さんは体温調整が大人ほどできない上に、身長が低くて地表に近い分、気温も高くなっています。例えば32℃の時、地表から50cmの場所の気温は約35℃にもなるそうです。
毎年多くの方が救急搬送されている熱中症は、誰にでも起りうるものです。熱中症には気を付けて私も暑い夏を乗り切りたいと思います。
参考WEBサイト
紹介:sKenji