2015年7月11日 今日の東電プレスリリース

7月11日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。

「日報」に登場する主な施設(Google Mapに加筆)

※ 情報を追加して更新します

2号機、3号機、4号機の廃スラッジ貯蔵タンクに変形等の異常のないことを確認

・2015年6月18日の移送作業時に確認した3号機廃棄物地下貯蔵建屋(以下、「FSTR建屋」という。)の廃スラッジ貯蔵タンク(A)の変形事象に鑑み、

各FSTR建屋内に設置されているタンクの点検を実施し、点検の結果、2号機増設FSTR建屋、3号機増設FSTR建屋および4号機FSTR建屋内に設置されているタンクについて、変形等の異常がないことを確認した。

なお、各FSTR建屋から各号機廃棄物処理建屋への滞留水移送については、水質に問題がないことを確認したことから、今後、各号機廃棄物処理建屋滞留水の水位等を確認しながら、計画的(断続的)に実施していく。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年7月11日

「3号機地下貯蔵設備(FSTR) 廃スラッジ貯蔵タンク(A)側板の変形について|東京電力 平成27年6月23日」より

2号機海水配水管トレンチのグラウト充填作業が完了

・2号機海水配水管トレンチのグラウト充填工事については、当該工事に伴い実施していた2号機海水配管トレンチ内滞留水の移送(残水処理除く)が2015年6月30日に完了した以降も、継続してグラウト充填作業を行っていたが、同年7月10日に当該作業が完了した。今後、海水配管トレンチ内の残水処理等を継続して実施していく。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年7月11日

「福島第一原子力発電所2号機海水配管トレンチ内の充填完了について|東京電力 平成27年7月11日」

上記の資料によると、AからDまで4つの立坑のうち、建屋に接しているAとDの2つについては、基準海水面のプラス4mまで充填が終わっているが、海側のB,C2つについて充填は完了しておらず、それぞれ水位は基準海水面からBで1.7m、Cで0.9mの汚染水水位があることが読み取れる。

滞留水が汲み取れなかった立坑Cについては「今後、観測孔として使用」とある。

1~2号機

新規事項なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中

※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中

◆2号機
1号機の冒頭4項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年7月7日午後3時2分~)

※ タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中

3号機 ~タービン建屋地下高濃度滞留水を移送停止

1号機の冒頭3項目に加え、
・使用済燃料プール循環冷却系停止中
(6月30日には、6月29日午後1時46分SFP代替冷却系を起動と報告されている)
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中

・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(2015年7月9日午前10時19分~7月11日午前9時51分)

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年7月11日

※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中

4~6号機

新規事項なし

◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。

◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備停止中

地下水バイパス ~揚水井No.10のトリチウム濃度は、さらに上昇して1,900ベクレルに(最高値更新)

※地下水バイパス揚水井No.10のトリチウム濃度は1,900Bq/Lと前回値よりやや高めとなっているが、他の揚水分析結果については、前回値と比較して有意な変動は確認されていない。引き続き監視を実施していく。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年7月11日

「福島第一 地下水バイパス揚水井 分析結果|東京電力 平成27年7月11日」より

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

7月10日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年7月11日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年7月11日

<H4エリア周辺地下水 E-1/E-9の全ベータ濃度>

採取日 7/3 7/4 7/5 7/6 7/7 7/8 7/9
E-1 1,100 1,700 1,500 1,400 1,700 2,000 2,000
E-9 5,500 ー ー 3,600 ー 4,000 ー

※ 単位はBq/L。(ーはデータの発表なし)