前回の島旅レポート
青ヶ島の地図
自然エネルギーを利用したエコな地熱釜
青ヶ島上陸2日目。朝起きると前日買った卵とレトルトのごはん等を持ってキャンプ場近くの「地熱釜」へ行く。
地熱釜とはその名の通り、地中の熱を利用した釜である。
青ヶ島は島全体が二重式火山となっており、外輪山とその内側に丸山と呼ばれる1785年の噴火でできた内輪山がある。この丸山を中心に島のあちらこちらに「ひんぎゃ」と呼ばれる熱い水蒸気を噴出する穴があり、地熱釜はその熱を利用している。
中にジャガイモなどの野菜や卵を入れておけば、熱が通って美味しく食べることができるとてもエコで便利なありがたい釜で、24時間無料で自由に使うことができる。
私も持って来た卵やレトルトのごはんなどを地熱釜に入れてみる。そして、待つことおよそ15、16分。
釜の蓋をあけてみると・・・
美味しい温泉卵が出来た。
レトルトの方はというと、こちらも十分に熱が通っておりお湯や電子レンジで温めるのと全く変わらない。
自然のパワーに感謝と感動☆
ちなみに卵を買ったお店の方の話によると、地熱釜で温泉卵を作る場合は12~15分ほど入れておけばよいそうである。
朝食は卵とレトルトご飯の他にジャガイモもあった。これは青ヶ島へ来る船で知り合った男性からおすそわけしてもらったものである。
男性は島外の人であるが、島に1カ月ほど滞在して農作業などの手伝いをするらしく、畑で掘ったばかりのジャガイモを地熱釜で蒸して持ってきてくれたのだ。新鮮なイモはほくほくとしており美味しい。
青ヶ島のパワースポット、大杉を求めて
地熱釜の近くにあるあづまやでトシ君と一緒に朝食を食べていると、ノムさんがやってきた。ノムさんは八丈島から青ヶ島に来る途中の船で知り合った男性で、歳は恐らく40代くらい。役場などがある集落の民宿に泊まっているのだが、野菜と魚を地熱釜で蒸すためにレンタカーでやってきたという。
その日、青ヶ島で見て周ろうとしていた場所がノムさんと同じだったために一緒に行動することになった。
朝食を食べると3人でまず最初に行ったのが丸山。内輪山の上を一周する散策路を歩く。
次にオオタニワタリの群生地へ。オオタニワタリは南方系のシダの一種で青ヶ島ではよく見かける植物である。岩や樹木に着生している光景には神聖さを感じる。
そして、オオタニワタリの群生を見た後、樹齢200年以上、島のパワースポットと言われている大杉を探すことにした。
ただ、この大杉、島の観光パンフレットにその存在は記載されているものの、詳細な位置までは書かれていなかった。
聞いた話によると大変わかりづらい場所にあるとのことである。私たちが青ヶ島に上陸したちょうどその日、一人の旅行者が大杉を探しに森に入ったのだが、道に迷って捜索願いが出され、山狩りが行われたそうである。
そのため、心なしか島の人に場所を聞いても口が重いように感じられた。
ひとりの旅行者が以前に行ったことがあるというので、彼に大杉へ通じる道の入口を聞くとその場所へ行ってみた。
しかし、行ったはいいが聞いていた入り口がわからなかった。
とりあえず、人が通ったような踏み跡がわずかに残っていたのでそこから森へ入ってみる。大杉までの道にはリボンやテープで印があるというのでそれを探したのだが、これが容易ではなかった。
リボンはピンク色をした半分朽ちたようなもので、なかなか見つけることができなかった。道がわからなくなると3人で三方に散ってリボンを探し、誰かが発見すると叫んで知らせる。そんなことを繰り返して森の中を進んだ。時にはひとつの印を見つけ出すまでに15分近くかかってしまうこともあった。
当然途中で、こんなわかりづらい道が本当に正しいものなのだろうかと考えたこともあった。しかし、誰もが口をそろえるようにわかりづらい場所にあると話していたことに加え、遭難者もでているのでこういう道なのだろうと思い、探し続けていた。
時には蜘蛛の巣が張られた胸ほどの高さの薮をかき分け、また時には大きな岩の間をよじ上って大杉を探すもいっこうに見つけることはできなかった。
1時間以上森の中を彷徨った昼の12時過ぎ、ついに大杉探しを断念することにした。
尾山展望台と集落の散策
大杉探しをあきらめると来た道を引き返す。そして、停めていたレンタカーにたどり着くと三宝港へ寄ってから尾山展望台へ向かうことにした。
青ヶ島には外輪山を見渡すことのできる見晴らしのいい展望台が2つあって、1つは前の日に行った大凸部展望台で、もうひとつがこの尾山展望台であった。
港に行ってみると、埼玉ガールズが埠頭の上を歩いていたので声をかけてみる。すると彼女らも一緒に尾山展望台に行くという。2回に分けて展望台へ移動し、島を一望できる贅沢なロケーションでお弁当を食べる。